和紙の原料「楮/こうぞ」の一部がスーパーフードに。

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「和紙のふるさと」で、スーパーフードを食す

コウゾ

 埼玉県小川町は、日本でも有数の和紙の生産地として知られている。和紙の原料に使用されるのは、楮(こうぞ)という植物の「皮」のみ。小川町の和紙生産では、夏場に楮の新芽を摘んで間引きする芽掻き作業を行い、皮の生産量を増やしている。従来、この作業の過程で発生する楮の「芽」がそのまま廃棄されてきた。

 そこで同社は、和紙作りで不要とされる楮の芽を活用しようと試み、栄養調査を実施。その結果、健康な体づくりや美肌効果に期待できる栄養素を豊富に含んでいることが判明した。カルシウムは牛乳の約2.5倍、ポリフェノールは赤ワインの約1.6倍、タンパク質は豆乳の約1.5倍にも及ぶという。

 栄養価の高い楮の芽を食べる文化が根付けば、減少傾向にある楮の生産を支援できる。同時に、和紙に「食」という付加価値を与えることで、新商品の開発や観光の推進にも活かせるだろう。

 今回、こうした楮の芽が持つ可能性を伝えるために、株式会社おいでなせえではプロのシェフによる楮の芽を使った創作料理の試食イベントを、2023年11月23日に開催した。試食イベントでは、その地ならではの食材や生産者への敬意、案件ごとのストーリーを踏まえて料理を作る「旅するシェフ」こと吉田友則氏が、楮の芽を使った創作料理を提供。

 小川町のように廃棄されてきた楮の芽を食材として利用すれば、和紙産業全体の持続可能な発展にも貢献できる。

 こうした地域ならではの食材を発見し、飲食店のメニューとして取り入れていくことで、SDGsの「住み続けられるまちづくりを」という目標の達成を後押しすることにつながりそうだ。