出典:Garden Story
太い花茎を立ち上げた先端に、ラッパのようなオレンジ色の花を一気に咲かせる様子が大変華やかなクンシラン(君子蘭)。じつのところ栽培では、気候や日照条件に敏感に反応する繊細な一面もあります。
名前に「蘭」が入りますが、ラン科の植物ではありません。原産地は、南アフリカのナタールで、寒さに弱い性質です。主に森林内や岩陰などの環境で自生してきたため、強い日差しが当たり続ける環境を苦手とします。日本の気候には馴染みにくく、鉢栽培にして季節や日照条件によって、適した場所に移動しながら管理するのが基本となります。クンシランは常緑性の多年草で、一度植え付けると毎年開花し、何年も生き続けるのでコストパフォーマンスの高い植物といえます。
種子を採取する予定がなければ、終わった花は早めに花茎から切り取ります。切り口が早く乾燥するように、晴れた日の午前のうちに行うとよいでしょう。
また、クンシランは光が差し込む方向に葉が展開する性質があります。放射状にバランスよく草姿を整えるには、葉姿を見ながら鉢を回転させて調整しましょう。
【種まき】
種子を採取する場合は、開花時に雄しべの花粉を筆にとって、雌しべの柱頭に撫でつけて受粉させるとより実がつきやすくなります。なるべく午前中に行いましょう。無事に受粉がすむと、秋に果実がつきます。花茎ごと切り取って室内で保管しておきましょう。
クンシランの種まき適期は4〜5月で、適温は15℃前後です。果実から種を取り出して流水できれいに洗い、黒ポットに培養土を入れて種をまきます。発芽後、株が大きくなるごとに鉢の号数を大きくして植え替え、育苗しましょう。開花までは5年ほどかかりますが、手をかけた分だけ喜びもひとしおです。
【株分け】
クンシランの株分け適期は4〜5月です。株を植え付けて数年が経ち、大きく育ったら株の老化が進むので、「株分け」をして若返りを図ります。株を掘り上げて、数芽ずつつけて根を切り分け、再び植え直しましょう。それらの株が再び大きく成長し、同じ姿の株が増えていくというわけです。
開花が終わった花は早めに摘み取りましょう。そのままにしておくと実がついて、繁殖するために体力を消耗してしまうためです。また、11月〜翌年4月の間に、約60日間は5〜10℃の寒さにあわせることもポイント。寒さを経験することで、花芽がつき、翌年の開花の充実につながります。