日本のみかん発祥の地「下津」

 和歌山県海南市は、県北部に位置し、市の中央部と南部に標高500m前後の長峰山脈が連なり、西は紀伊水道に面しています。この山脈を源とする日方川、亀の川、加茂川が東西に流れ、市の東部には紀の川の支流である貴志川が流れています。

 海南市では、温暖な気候と立地条件に恵まれた海岸部から中山間部の傾斜地を中心に、全域にわたり果樹が栽培されています。品目も多岐にわたり、みかん(柑橘類)、桃、びわ、キウイフルーツを核として、梅、すもも、アボガド等種類も豊富で、その品質と量において市場で高く評価されています。

 海南市下津地域は、約1900年前、垂仁天皇の命を受けた田道間守が中国からミカンの祖となるタチバナを持ち帰り、「六本樹の丘」に植えたと言い伝えられていることから、日本のミカン発祥の地とされています。

 当地域はほとんどが急傾斜地であることから、約400年前から独自の石積み技術により段々畑を築き、ミカンを栽培し、急傾斜地ではビワを栽培してきました。また、ミカン園内に木造・土壁の蔵をつくり、毎年、収穫したミカンを1~3カ月間、木箱に入れて貯蔵することで酸味が落ち着き、糖とのバランスがよくなった「蔵出しみかん」を1~3月に出荷します。

 自然の力で甘みを増す「蔵出し技術」を生み出し、山頂や中腹に雑木林を配置することで、水源涵養や崩落防止などの機能を持たせるとともに、里地・里山の豊かな生物多様性を維持し、持続性の高い農業システムを構築しています。

 これらのことが高く評価され、2019年2月15日、「下津蔵出しみかんシステム」として、農林水産大臣から日本農業遺産に認定されました。

 
出典:マイナビ農業