サトイモってね、逆さに植えると必死になるんですよ

出典:現代農業Web

発芽に苦労する分、力強く育つ

  サトイモをつくるなら、種イモの芽が出るほうを下向きにする「逆さ植え」がおすすめです。そうすると収穫量が増えますよ。

 普通に上向きに植えると、自然体で芽がスーッと伸びていきます。のんびりラクして育つせいか、貧弱です。逆さ植えだと、下からグルッと回って発芽。苦労する分、「負けてたまるか」「子孫を養わなければ」と土の中で必死になるのではないでしょうか。根張りがすごくて、太くて立派な芽がよじれるように出てきます。

 以前、自分の畑でサトイモを掘っていたら、明らかに他とは違う、大きなイモがたくさんついた株があったんです。よく見ると、親イモの姿が独特で、エビのように曲がっている。ピンときました。たまたま種イモがひっくり返ってそうなったんでしょうが、それをヒントに意識して逆さ植えをするようになりました。

 ただし、芽が出てくるのに半月ほど余計に時間がかかります。よその畑では草丈が20~30cmに育っているのに、うちの畑ではまだまだで、近所の人から「どうしたんだ」「遅いなあ」などといわれてしまいます。正直、心配ですが、いったん芽が地上に出たら、あとは早い。「生きていかなければ」といわんばかりに、グワーッと伸びて、他を追い越します。すばらしく旺盛です。株元が太くなり、見事なイモができます。

 また、何年も同じところでつくり続けると、連作障害といって、根張りが悪くなり、まともに育たなくなります。植える場所はできれば毎回変えましょう。スペースが限られていて難しい場合でも、落ち葉を集めて、ウネ間(ウネとウネの間の溝)などに敷き詰めれば、土が肥えて、根が元気になり、連作障害を回避できます。雑草防止や乾燥防止にもなります。畑をよくするのに、落ち葉に勝るものはありません。

 ウネには黒かシルバーのマルチを張ったほうが断然いいと思います。地温を上げる、激しい雨を避ける、水分を保つ、草を抑えるなどの役割があるからです。マルチのあるなしでは、収穫量が倍違います。また、比較にならないほど、味がよくなります。きめの細かさといいますか、口の中に入れたときのトロッとした舌触りが絶妙です。マルチによって細根が増えるからでしょうか。

 ウネを高くして、ある程度深めに逆さ植えすれば、イモの太るスペースができるので、生育途中の土寄せは必要ありません。最初から最後までマルチを張ったまま栽培できます。

 サトイモは「水で太らせる」といわれる作物です。気づきにくいかもしれませんが、梅雨明け後、葉の縁の部分が青いままカラカラになってきたら、それは「水がほしい」の合図。ただし、一度にガバッとあげてはいけません。そのあと、日がカーッと照ったら、土の中が熱くなりすぎて、根がやられてしまうからです。最初の水やりは「ならし」で、ほどほどに潤す程度。その後は定期的(3日おき)にたっぷりやります。