麦や大豆の栽培に適さない山あいの休耕田に自然薯を栽培、農地の有効利用と遊休化防止に取り組んでいるのは福岡県苅田町の黒添営農組合(田中俊茂組合長)。町農業委員会(前田春樹会長)が音頭を取り、自然薯の「種芋オーナー制度」を導入。オーナーは種芋を買い、作付けから収穫まで全部自分で管理、作業するシステムだ。今年、農業委員会が役場の庁舎メールで募集したところ、農地を持たない町会議員から職員まで24人が5~50本の種芋(1本273円・消費税込み)オーナーになった。その結果、同営農組合が一昨年200本で始めた自然薯栽培が、今年は1,500本まで増えている。
栽培法は、地中に長さ1.35メートル、直径6.5センチのクレバーパイプ(栽培器)を斜めに埋め、その上端に種芋を植え付けるだけ。作業は4月始めにパイプ土入れ、植え付け、施肥。下旬に棚作りをして夏場は排水、除草作業。秋にムカゴ、12月には自然薯が収穫できる。
この栽培法では追肥がなく、水管理は楽で、草取りもオーナーたちが率先してやっている。種芋オーナーの一人、森田喜富・元消防長は「インターネットを見てすぐ参加した。収穫が最大の楽しみ」という。
「町の住民はハイキング気分で草取りにくる。農家との交流もでき、地域に活気も出てきた」と自然薯栽培導入の仕掛け人、農業委員会事務局の神田俊彦係長は、副次的な効果も説明する。
また、もともと同町は大企業の工場などが多く、兼業機会がしっかりしているだけに、後継者が少なく労働力が不足していた。併せて担い手は効率的な農地はていた。
「遊休地荒廃防止には営農組合の存在が大きい。自然薯栽培導入にも積極的に取り組んでもらい、将来に道が開けてきそう」と、神田係長は地域での取り組みの重要性を強調する。
「農家としてもコンバインが入らない山あいの狭い農地が荒れないことが最大の利点。上の農地が荒れれば下の農地もだめになる」と、休耕田の除草作業に苦
労していた田中組合長もオーナー制度導入を評価する。
町農業委員会では春先にオーナーを対象に、「自然薯で地域農業の再生を図ろう」をテーマに勉強会を開催、30人が集まった。さらに、オーナーを卒業して自 「まだこの取り組みは始まったばかり。これからは町民全体に募集をかけて、自然薯を地域特産物に育てていきたい」と、神田係長は休耕田の遊休化防止の取り組みから、地域活性化への道につなげたいとしている。
(2003/07/18)

