南部太ねぎ(なんぶふとねぎ)

昔からある南部町の「南部太ネギ」

 青森県南部町の「南部太ネギ」は、絶滅の危機から救われた郷土の伝統野菜です。きっかけは、南部町にある青森県立名久井農業高校の生徒たち。地元の伝統野菜を絶やしてはいけないと、町内にただ一人残っていた栽培者から種を譲り受け、学校のほ場で栽培し、種を取り、今につなげてきました。その思いは、当時30代の若手農家に引き継がれ、今や少しずつ生産面積を増やし、復活の道筋をたどっています。甘みがあり、葉っぱまで食べられる在来種。交雑を繰り返していないため、伝統野菜独特の栽培の難しさはありますが、100年後も町の子供たちが南部太ネギを食べられるようにと願いを込めて、生産者は日々試行錯誤を重ねています。

 南部太ネギの最大の特徴は、その甘さと大きさ。専門機関の成分分析では、一般品種と比べて糖質が高く、葉まで食べられる品種です。太いものでは白根の部分が直径3センチを超え、長さも1メートル前後まで育ちます。一方で、在来種のため現在のように安定品種になるような交雑をしていないため、ほかの品種よりも病気に弱く、栽培が難しい面もあります。

 一般的なネギの栽培は、白い茎の部分を伸ばすために、その部分を日に当てないようにして、成長段階で茎に土をかぶせていくような「土寄せ」作業を行います。南部太ネギは、成長すると葉が左右に大きく分かれていくため、土寄せをすると茎と葉の分かれ目部分に土が入りやすく、病気にもかかりやすくなります。そのため、土寄せに手間がかかり、今のような機械生産が困難だったためその姿を消していきました。

 2013年、長雨や台風の影響で、出荷を目前にして次々に南部太ネギが病気にかかり、結果を残すことはできず、また生産者が3人しかいなかったため、商談をしても相手にしてもらえませんでした。冬場に町の広報誌で特集を取り上げてもらい、さらに、新たに南部太ネギを作付けしてくれる農家の募集を行いました。その後、名久井農業高校生の思いや、若手農家の情熱に共感した町内の若手農家を中心に10人の農家が集まり、新たな出荷体制を整えました。

 2014年、10人の農家と勉強会を重ね、生産方法や施肥設計、出荷体制などを協議。年間2000本の取引を目指して地元のスーパーや産直、首都圏の百貨店やレストランなどを中心に商談も行いました。そして旬を迎えた10月下旬。農家と高校生の苦労が実を結び、初出荷を迎えました。ふたを開けてみれば目標の2000本を大きく超える2800本の出荷。ほかのネギから見ると決して多いとは言えませんが、地元にとっては大きな一歩となりました。

南部太ねぎの美味しい食べ方

トースト、天ぷら、かき揚げ、照り焼き、すき焼き、ねぎ鍋、ねぎ肉巻き鍋、酢みそ和え

 いよいよ南部太ネギも本格出荷を迎えます。今年は昨年と同じ10人ほどの農家、そして地元の名久井農業高校が連携して、南部町の伝統野菜を多くの方に味わっていただこうと栽培に取り組んでいます。

 
出典:南部太ねぎ