山菜の話ー誰も採らない種族

米どころ「富山県」の旨いものあれこれ 

 山菜採りと聞くとどなたも「楽しそうですね」と返されます。
私たちも最初の頃はそうやって無邪気に楽しんでいました。
それがどんどんはまっていくと結構な重労働になっていくのです。

でも、それでも楽しい事には違いなく長年続いている訳なのですが、長年山に入り続けていると困った変化を目撃することになります。

乱獲による一部人気品種の衰退です。
一番人気のタラの芽です。

タラの木は春、先端から芽吹きますが最初はひとつだけです。
それがそのまま成長すれば立派な枝葉になるわけです。

大きく展開する前の、その芽がいわゆる「タラの芽」となり、ものの本によると「山菜の王様」などと書かれていたりします。

採取はいたって簡単で手でポロリともぎ取れます。
これを一番芽といいます。
すると次に二番芽が萌え出てきます。
これも同様に採取できますが、ヒトが採っていいのはここまで!

その次に出てくる三番芽まで摘んでしまうとそのまま枯死するのです。

大きな株にまで成長しているものなら枝が何本もあります。
でも、それとて一本の枝先に萌え出る芽の理屈は同じです。

ひと枝に芽吹くのは先端部のみなのです。

こういう弱い山菜は欲張らずに、また来年も獲れますようにと我慢をすることが大事なのです。

ところが山では道端に在るタラノ木はほぼ全滅してしまっています。

 その次にはコシアブラの木がそうなりました。
実生苗とはこぼれた種から発芽生育した苗木のことですが、それがようやく2~3年で30cm程にも成長すると先端に結構立派な新芽を発芽させます。

実にかわいらしく頼もしい姿です。
その形状から私たちはクラウン(冠)と呼びます。
しかし、このわずか一個の先端の新芽を摘み取ってしまうと、その実生苗は生長点が他に無いために、あっけなく枯れて死んでしまいます。

この幼木には2~3番芽など出ません。

道端にはそんな枯れ木がそこかしこに累々と見られたものです。

この頃から私はそういう人気品種から遠ざかるようになりました。
衰退、絶滅に手を貸すのに飽き飽きし辟易したのです。
食べなくとも平気になり、見つけても採らなくなりました。

では何を採るのか というと 美味しいのに誰も採らない、見向きもされない山菜を採るようにしたのです。

そんな隠れた名菜を少しづつご紹介しましょう。

 一番早い時期では「カンゾウ」です。
ノカンゾウ、ヤブカンゾウと2種類ありますが、どちらも同じように採取利用できます。

あまり大きく展開していない芽吹き状態のものを選んで、地中にナイフを入れて土に埋もれた白い部分から収穫すると葉がバラバラになりません。

ひとつの株から沢山の芽が出ますからいくつかづつ採り、根こそぎにしないようにすれば毎年収穫が可能です。

食べ方は、そのまま茹でて酢味噌、酢醤油、サラダ、天ぷらや炒め物で。

不思議な甘味があって美味しく、いくらでも食べられますが、繊維が多いのでお腹が緩くなります。
過食注意な種類です。

また、サラダとは書きましたが、これに限らずクレソンなどでもそうですが、山の天然自生の美味しい物には、必ずと言っていいくらい虫の卵が付いているものと思って間違いありません。

酢や洗剤を加えた水で良く洗うとか、加熱処理をしっかり施す事をお進めします。

どんなところに生えているかとか。姿かたちはネットや本で調べてみてください。
平坦で採りやすい場所、初心者や子供さんでも大丈夫な春一番種です。

 その次が、ニワトコです。

リンク先で確認していただければ色々書かれていますが、これも過食注意です。
微弱毒性があるそうで、美味しい天ぷらでも一人3個程度に我慢する方が無難でしょう。

微弱ながら毒性と聞くと驚き恐怖を感じる方もいるでしょうが、野山の山菜や、それこそ畑の野菜だってそんなものはいくらでもあります。

ワラビやフキノトウなんかは毒抜き、毒消し工程を経るから野趣を楽しめるし、サツマイモや大根なども畑で泥と汚れを拭って食べると、とても旨いものですが「吹き出物が出るから食べすぎないように」とたしなめられたものです。

ですからその影響でいまだに生食できるコ-ンなどと聞いても食べられません。

ニワトコは一般的には天ぷらが一番美味しい食べ方ですが、せいぜい3~5個くらいにとどめておきましょう。

 
参照:ごはんの味方