「日本のホップ」「山のホップ」と呼ばれる「カラハナソウ」は、ビールの主原料の一つ「ホップ(セイヨウカラハナソウ)」の近縁種。つる性の多年草なので、夏の日差しを和らげるグリーンカーテン向きの植物で、栽培は比較的簡単と言えます。そのカラハナソウは農業用ハウスの遮光にも利用可能とのこと。
埼玉県所沢市で年間30種類ほどの野菜を栽培している樽谷慎二(たるや・しんじ)さんは5年前(2017年)の2月から、「山のホップ」とも呼ばれるカラハナソウを、グリーンカーテンとして利用する目的で栽培しています。
カラハナソウはアサ科(分類法によってはクワ科)のつる性多年草で、本州中部より北の比較的涼しい地域に自生し、山道沿いなどで見かけることもあります。冬は地上部が枯れて休眠するため、その休眠の時期に地下茎を掘り出して切り分けたものが、素掘り苗(裸苗)として売られています。樽谷さんはその素掘り苗を岩手県の花屋のネットショップで購入したそうです。
樽谷さんは苗を入手した後すぐ、種まき用の培土を入れたポットに1つずつ植え、ハウスの中に置き、ほぼ毎日水やりをしました。約1カ月後の3月に芽が出て、さらに水をやり続け、芽がある程度成長した4月初旬に定植しました。夏場のハウスの遮光が目的なので、ハウスの南東側に2メートルほど離して、約1メートル間隔で10株植えたそうです。
その後すぐに、カラハナソウが絡み付くための支柱とネットを、地面からハウスの上部にかけて張りました。1〜2年目のカラハナソウは、ネットをつたって上に2メートルほど成長したものの、ハウス全体の日よけになるほどではなく、夏場に花も咲かず実も付かず、秋から冬にかけて枯れていきました。
寒さに強い多年草であるカラハナソウの地下茎部は冬を越し、翌春には前年の倍程度の芽を出しました。1年目よりも2年目は密度を増して、順調に上へ上へと伸び、夏場に少し花が咲き、ビールに使用するホップと同じような実が付きました。3年目の夏には、葉の密度的にも十分になり、ハウスのグリーンカーテンらしくなりました。
その後も、春に芽を出し、夏場に花が咲き実を付け、秋から冬にかけて枯れるという状態が続いています。「1〜2年目は弱々しかったので、所沢のような温暖地ではダメなのかなと思いましたが、3年目以降は期待通りです。ハウスの中が暗くならないように高さを調整していますが、今後はもう少し上まで伸ばそうかなと考えています」と樽谷さん。
遮光のためのカラハナソウ栽培は手間がかからないのがメリット
樽谷さんは、カラハナソウをハウスのグリーンカーテンにするメリットについて、「防除などは行ったことがなく、ゴーヤー(ニガウリ)よりも栽培は楽で、病害虫にも強いと感じています。また、多年草なので定着すればほとんど管理の手間がかからないのがいいですね」とのこと。
さらに、5年間栽培した経験から「広めの場所の遮光に向いていて、上に伸びるように促せば、高さ5〜6メートルはカバーできますよ。強い日差しからハウス内の作物を守ってくれるので助かります」とも言い、カラハナソウが夏の農作業に一役買っているようです。
温暖な埼玉県西部でカラハナソウを栽培してみての感想なので、日本国内でも土壌や気候によっては定着しない可能性があります。ただし近年の埼玉県所沢市は、夏は日中かなりの高温になるので、カラハナソウは結構暑さにも強いようです。
農業用ハウスのグリーンカーテン以外の活用
ホップ(セイヨウカラハナソウ)は独特のさわやかな香りが特徴ですが、「日本のホップ」「山のホップ」の異名を持つカラハナソウも、少し香りが弱めであるもののハーブのように活用できます。
ちなみに樽谷さんは、夏場にカラハナソウの実を必要なだけ収穫して、天ぷらやハーブティーとして活用しているそう。「野菜を購入してくれる飲食店さんに“ホップのフリッター”がおいしいと聞いて、自分でもたまに天ぷらにしています。やはり香りを楽しみたいので、塩味でいただくのがいいですね」とのこと。
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