りんご品種開発、温暖化見据え

温暖化に対応、着色が良い、手間がかからない 貯蔵性が高い

 ケースいっぱいに入ったリンゴを一つ取り出しては割り、種を取り出していく。採取された種は、交配でできたもので次世代のリンゴ産業を担う可能性も秘めているが「昔の品種開発は『5000粒に新品種一つ』と言われたが、今はハードルが高くなり、1万粒に一つもないこともある」。県産業技術センターりんご研究所(黒石市)品種開発部の初山慶道・総括研究管理員は品種開発の道のりの険しさを語る。

 「国光」「紅玉」「つがる」「ふじ」――。県内で育てられるリンゴの品種は、消費者の好みや生産環境の変化などとともに変化してきた。品種開発の目標は、おいしい果実を作るのはもちろんだが、同研究所では「温暖化に対応し、気温が高くても着色が良い」「高齢化で人手不足でも手間がかからない」「貯蔵性が高い」とテーマを設定し、新たな品種で農家の課題解決を狙う。

 2018年に品種登録された 早生わせ 種「紅はつみ」は、26年をかけて同研究所が生み出した。親の「つがる」よりも手がかからず、色付きが良いのが特徴だ。開発開始から登録まで20年以上かかることは珍しくなく、木村佳子・品種開発部長は「温暖化や人手不足は必ず進むことを見据えて開発を続けたい」と話す。

 民間で開発される品種もある。「深味バーニングレッド」と名付けられた新品種は、板柳町のリンゴ農家、八木橋勝英さん(70)が育てていた「ふじ」が突然変異したものだ。

 老化防止に効果があるとされる抗酸化作用がある「アントシアニン」の一種を豊富に含み、皮だけでなく果肉にも赤い斑点があるのが特徴だ。

 ふじは、着色のために果実を回転させて日光をまんべんなく当てる「玉回し」という作業が必要だが、深味バーニングレッドは、放っておいても真っ赤に色づく。味もふじより濃厚で、皮ごと食べると味がいっそう際立つという。

 24年産の深味バーニングレッドは、約150本の木から約200キロを収穫。そのうち約60キロは香港向けに試験的に輸出した。現地の旧正月には、初めての販売が行われる。

 八木橋さんは「最初は、『ふじの足元にも及ばない』と思ったが、育てているうちに『もしかしたら、ふじに代わる品種になるかも』と思い始めた。まずは地元の板柳町の主力品種を目指す」と目を輝かせている。

ふじ48・5%圧倒的占有率

 
 県内で主に栽培されているリンゴは40~50種程度とされているが、もちろん「ふじ」が最も多く作られている。青森りんごに占める「ふじ」の割合は、2023年産で48・5%。王林(10・1%)、つがる(9・8%)、ジョナゴールド(8・3%)などと比べて圧倒的な差がある。

 1962年に品種登録された「ふじ」は、栽培法が確立されると拡大していき、82年産で品種別の収穫量でトップに立った。87年産で初めてシェア5割を超えて以来、ほとんどの年で5割程度を維持している。

 
出典:読売オンライン