青森のうまいものたち

出典:あおもり産品情報サイト

 四季のメリハリがはっきりしている青森では、里の雪が消えると一瞬の間に緑の山河となる一方、山は冬、山スキーのシーズンと、春と冬が一度にやってくる面白い景色が広がります。この時期から、青森の山々には「カタクリ、行者にんにく、アザミ」など早春の山菜が芽吹き始め、朝早く採れたこれらの山菜が青森県内各地の道の駅、直売所などの店頭に並びます。
  今回は、青森の春を告げる山菜たちと、地元ならではの食べ方をご紹介します。

フキノトウ
(出回り時期:4月上旬~5月上旬)

雪どけと共に顔を出すことから、「春の使者」とも言われる春を告げる山菜で、青森では「ばんけ」、「ばっけ」と呼ばれ親しまれています。つぼみの頃が旬なのですが、すぐに花が開いてしまうので採取はたいへん!しかし、その独特の芳香とほのかな苦みが、一度食べ始めるとついついクセになってしまいます。苦みがまろやかで、上質な味わいのつぼみは天ぷらにして食すほか、のびた茎は、苦みが強いので重曹を入れた熱湯で柔らかくゆで、日に当たらないように水に浸し、苦みが取れたら適当な長さに切り、酢みそをかけて食します。

天然コゴミ

(出回り時期:4月下旬~5月中旬)
湿った腐葉土に群生し、株状に生えるため、比較的収穫が容易な山菜です。アクや臭みが無く、ワラビやゼンマイのように手間もかかりません。
 丸くかがみ込むように生え、こごんでいる様子から「こごみ」と呼ばれます。
 シャキシャキとした食感と程よいヌメリが特徴で、茹で上げた後の鮮やかな緑色が食欲をそそります。青森では一般的に、クルミ和え、マヨネーズ和え、煮物、炒め物、天ぷらなどで食します。

 

天然アザミ

(出回り時期:4月中旬~5月中旬)
独特の香り、味がまさにこれぞ山菜、という味のアザミ。葉にトゲがありますが、ゆでると気になりません。塩を入れ、さっと茹でた後すぐに水にさらしてアク抜きをします。
 トゲのあるアザミは重曹を入れてゆで、青森ではみそ汁の具などにして食します。

行者にんにく

(出回り時期:4月上旬~5月中旬)
山伏が山中での厳しい修行に耐えるため摘んで食べたのが「行者にんにく」です。ニラやネギの仲間で、種子から芽を出して食べられるようになるまでに5~6年もかかり、涼しい気候の一部の地域にしか生えない貴重な山菜ですが、天然物は今ではとても希少になりました。
 つみ取り方にもコツがあり、ナイフを使用しなければ根が抜けてしまいます。
 「行者にんにく」と言うだけあって、香りはもちろん、成分的にも「にんにく」ととても似ており、カリウム、リン、亜鉛はニンニクより低いのですが、カルシウム、マグネシウムは多いかほぼ並びます。食べ方は「おひたし」やニラと同じように、卵と合わせて炒めたりと、その香りを活かした食しかたが主流です。

天然タラノメ

(出回り時期:4月下旬~5月中旬)
山菜の中でも「王様」と言われるタラノメ。天然ものは、穂先が黒に近い赤紫色になり、全体も黒ずむとともに柔らかみが増します。料亭では、見た目を重視するので、芽がでたばかりの5cmぐらいまのでものを使用することが多いそうです。

天然みず(ウワバミソウ)

(出回り時期:5月下旬~6月下旬)
イラクサ科ウワバミ属で、正式名称はウワバミソウ。大蛇の出そうな場所に生えるから、蛇が飲み込み、この草で消化した等の俗説があります。一般的には「みず」または「みずな」と呼ばれ、しゃきしゃきとした歯ごたえでさっぱり味の山菜として、青森県では広く親しまれ、時期になると、家族で皮をむいている風景をよく目にします。
 ミズは表皮をむき、ゆでておひたし、あえもの、油炒め、汁の具などにして食します。クセがなく、その名の通りみずみずしい歯ごたえとヌメリが特徴。茎の根本の赤い部分は細かく刻むか、叩きつぶすと“とろろ”のように粘りが出ます。

根曲がり竹

(出回り時期:5月中旬~7月上旬)
正式な和名はチシマザサですが、一般的には根曲がり竹(ネマガリタケ)と呼ばれます。山に行くと一面ササ原が広がっているのを見かけますが、このササの芽が雪の重みで湾曲のまま育つため、「根曲がり竹」という名称がつきました。その上品さと美しさから、別名「姫たけ」とも呼ばれます。
 皮をくるくるっとむいていくと、細くみずみずしいタケノコが現れます。細いですが、柔らかく口当たり優しい食感と風味に人気があります。食べ方は、フキなどと一緒に煮込んだしょうゆベースの煮物が有名ですが、何といっても味噌汁が本来の味を引き出す食べ方。市販で売られているビン詰めはそのままで料理ができ、重宝されています。

天然山うど

(出回り時期:4月下旬~5月下旬)
独特の苦味と風味、入手の困難さから「山菜の横綱」と呼ばれ、多くの山菜通に珍重されています。山菜特有のアク抜きも必要がなく、茎の芯の部分は酢味噌あえやサラダに、残った皮や穂先の部分はてんぷらやきんぴらにと、ほとんど捨てるところなく、手軽に調理できます。

天然わらび

(出回り時期:5月中旬~6月中旬)
わらびはアクが強いので、灰や重曹でアク抜きをします。
アク抜きをしたわらびを食べやすい長さに切り、酢味噌や醤油をかけておひたし、炊き込みごはんにしても美味しいです!