里山の春の恵〜ウルイ

出典:あぶくま

 

ウルイ やまかみ山菜研究会(古殿町)

 春を告げるウルイは、オオバギボウシの若い芽で葉が開く前のものが食されています。
県内の中山間地域に自生していますが、市場に出ているもののほとんどは、栽培されたものです。
白く柔らかい茎と鮮やかな若葉の色が特徴で、自生したものより苦みやクセも少なく、さまざまな料理が楽しめます。中でも、酢味噌和えや卵とじ、炒め物に適した山菜です。

 現在、代表を務める矢内義雄さんを含めて正会員は10人。町全体では30件ほどがウルイ栽培に取り組んでいます。
「兼業でも栽培・収穫作業が可能だからこそ、長く続けてこられた。山菜の種類を増やすことにも取組みながら、ウルイの栽培量を減らさないように続けていきたい」と矢内さんは熱く話します。

 4月から5月にかけて自生するウルイは、硬さや山菜独特の苦み・えぐみがあります。でも、畑で栽培する古殿産ウルイは、柔らかくえぐみもありません。
これは、栽培者の努力があってこそ。夏は株の成長を促し、早期出荷分は株を堀上げハウス内に移して発芽を促し、1月中旬から収穫を始めます。2月下旬からは地植えの株をビニールで覆い、藁をかぶせ、遮光用のネットを使って白くて柔らかい茎を育てます。
白く柔らかいまま出荷するため、収穫作業は日が昇る前。朝4時から作業を始め、関東市場へはパック詰めで、県内ものは袋詰めでJAを通じ出荷します。
特に古殿産は市場評価も高いことから価格的にも魅力ある商品です。

 古殿のウルイのおいしさをたくさんの方々に味わってもらえるよう、加工品の製造を含め広報・販売をしていきたいと、道の駅や役場と共に生産・販売拡大に取組んでいます。
収穫最盛期後のウルイを活用した加工品の製品化も実現しました。道の駅ふるどので限定販されている「うるいうどん」は、葉を高温乾燥し麺に練りこみ、つるんとした食感を味わえます。
現在は乾麺のみですが、「いずれは町内の飲食店などで味わうことができるようにしたい」と矢内さんの想いはふくらみます。

 早春の山菜の北の主産地は山形県や新潟県。主産地と同等の市場評価をかち取るまでの技術を培ってきたやまかみ山菜研究会。柔らかいウルイを長く生産していくために技術力を継承する後継者を増やすことにも力を入れています。
 古殿町のウルイは、県内のスーパーでも入手できます。ぜひ味わってみてください。
引用:photo-ac.com