出典:世田谷自然食品
しゃくし菜漬けはアブラナ科の植物で、チンゲンサイの仲間でもある「雪白大菜(セッパクタイサイ)」を漬けたものです。秩父地方では、タイサイの形がしゃもじ(飯じゃくし)に似ていることから「しゃくし菜」と呼ばれています。 野沢菜漬けやキムチのように、塩だけでなく乳酸発酵も利用して漬けられる点や、塩分控えめで酸味がある点が特徴です。
長野県木曽地方の「すんき漬け」と同じように、しゃくし菜漬けも、もともとは寒さが厳しい山間部である秩父地方の冬の保存食でした。昔は冬を前に、家ごとにしゃくし菜を漬けていて、それぞれの家庭の味があったと言われています。
しゃくし菜漬けの素材であるタイサイは緑黄色野菜で、βカロテンを豊富に含んでいます。βカロテンは抗酸化作用に優れ、免疫力を高める力も持っています。また、体内でビタミンAに変換されて体の成長を促し、目を健やかに保つ働きもあります。
タイサイは小松菜などと同様に、骨の材料となるカルシウムや、骨を作る働きを促すビタミンKを多く含んでいます。野菜のカルシウムは吸収されにくいので、ビタミンDなど吸収を助ける栄養素の多い食材を一緒に摂るのがおすすめです。
タイサイには、血球・DNAの合成に関わり、貧血を防ぐ働きのある葉酸や、体内の余分な塩分を排出してくれるカリウムなどの栄養素も多く含まれています。また、しゃくし菜漬けは乳酸発酵を利用するので善玉菌である乳酸菌もたっぷり。善玉菌のエサになる食物繊維も豊富なので、おなかを整えるのにも役立つのです。
漬物といえばご飯のお供やお酒のおつまみを連想しがちですが、しゃくし菜漬けは塩味が強くないので、焼き魚や肉料理などの付け合わせにもぴったり。さっぱりとした酸味で、ちょうどいい箸休めになります。
高菜漬けのように、しゃくし菜漬けを油炒めにしてもおいしくいただけます。油がβカロテンの吸収を助けるので、栄養面でもおすすめの食べ方です。刻んだしゃくし菜漬けを納豆と和えれば、乳酸菌と納豆菌で善玉菌たっぷりの小鉢に。納豆のたんぱく質は、骨を健やかにするのにも欠かせません。
ボリュームのあるメニューと合わせるなら、油がβカロテンの吸収を助ける、チャーハンやぎょうざはいかがでしょうか。しゃくし菜漬けのシャキシャキした食感がアクセントになりますし、独特の酸味は、塩分を控える助けにもなります。
なかなか珍しい「しゃくし菜漬け」ですが、通信販売も行われていますし、首都圏近郊のデパートやアンテナショップなどでも手に入るようです。そのまま食べても、アレンジしてもおいしくいただけますから、見かけたらぜひ試してみてくださいね。