その名も「王家の野菜」 モロヘイヤ

 厳しい暑さが続き、葉野菜がめっきり少なくなる時期でも、青々とした姿で店頭に並ぶモロヘイヤ。アオイ科ツナソ属に分類され、原産地がアフリカまたはインドといわれるだけあって、とても暑さに強く、6月から9月にかけて旬を迎えます。エジプトでは古くから食べられてきた野菜で、王の病を治したとも伝えられ、古代ローマの博物学者プリニウスの著作「博物誌」にも登場します。日本へは1980年代にアラビア語と中東文化を専門とする学者の飯森嘉助氏が紹介し、普及に努めました。その際、エジプトで呼ばれていた発音をもとに、アラビア語で「王家の野菜」を意味する「モロヘイヤ」と名付けたのだそうです。
 青菜類が品薄になる夏場に収穫期を迎えるモロヘイヤは日本でも愛されるようになり、農林水産省が発表した地域特産野菜生産状況調査の令和2年産の統計によると、全国の収穫量1,090トンのうち、1位が群馬県の288トン、2位が沖縄県の175トンで、岐阜県、神奈川県、宮城県、佐賀県、兵庫県、長崎県、宮崎県と続き、温暖な地域を中心に全国各地で生産されています。

— 種子や莢には要注意! —

 モロヘイヤの種には強心配糖体(強心作用のある成分)が含まれており、めまいや嘔吐などの中毒を起こしますので、食べないように気をつけましょう。成熟した種子、種子の莢、発芽からしばらくまでの若葉などにもこの成分が含まれています。家庭菜園などで栽培して食べる際は、特に注意が必要です。野菜として流通している収穫期のモロヘイヤの若葉や若い茎に健康被害が起こる心配はありません。(*内閣府食品安全委員会ホームページ「モロヘイヤについて」参照)

— モロヘイヤの栄養学 —

 100gあたりの栄養価は、体内でビタミンAとなって粘膜や皮膚を健やかに保つ働きで知られるベータカロテンがほうれん草の2倍以上の10000μg、免疫機能の強化や美肌に役立つビタミンCは65mgで温州みかんの2倍以上も含まれています。造血のビタミンとして知られる葉酸は250μg、止血のビタミンと呼ばれるビタミンKは640μg、体内の余分な塩分(ナトリウム)の排出に役立つカリウムは530mg、骨の健康に欠かせないカルシウムは260mg、食物繊維は5.9gと、いずれも野菜界でもトップレベルです。ゆでて刻むと特有のぬめりが出てきますが、これは腸内環境を整えてくれる水溶性食物繊維によるもの。残暑が厳しく体調を崩しがちな今こそ、すぐれた緑黄色野菜モロヘイヤで元気をチャージしてくださいね。

— モロヘイヤの選び方・保存法・調理のポイント! —

 葉にピンと張りがあり、緑色が濃く、茎が太過ぎず、切り口が新鮮なものを選びます。保存の際は、湿らせたキッチンペーパーで包んでから全体をポリ袋に入れ、葉を上にして立てた状態で冷蔵庫の野菜室へ。あまり日持ちしないため、購入後は早めに使い切りましょう。すぐに使い切れないときは、硬く太い茎から葉と細い茎だけを摘み、20秒ほど塩ゆでし、冷水にさらしてザルにあげ、水気を絞り、粗く刻んで食品用保存袋に広げて入れ、冷凍保存するのがおすすめです。調理の際は解凍せず、そのまま使えて便利です。モロヘイヤのくせのない味わいと軟らかな食感は、スープや汁物、おひたしなどの料理によく合います。加熱して刻むと出てくる特有のぬめりを生かせば、和え物や汁物などがノドごしよく仕上がります。

 
出典:野菜大好き