ナワシロイチゴ

出典:Ee-yakusou.com

見分け方・特徴

 枝は高さ20~30センチ、茎は蔓(つる)状に地上を這い長さ約1メートル伸び、根を張る。
 枝や葉には、軟毛が密生して、枝には下向きの鋭い刺がある。
 

 葉は互生、長さ8~14センチ、奇数羽状複葉、小葉は1対(計3枚)、1年目の茎の葉は大型になり小葉が2対(計5枚)のものもある。
 小葉は長さ3~5センチ、菱形状倒卵形、葉縁には欠刻状の重鋸歯があり裏面に白い綿毛が密生する。
 花は5~6月頃に枝先や葉腋に短い花枝を出して数個の淡紅紫色~紅紫色の花を上向きにつける。
 花柄、がく、花軸には軟毛が密生し、がく片5個、花弁5個、雄しべ、雌しべとも多数ある。
 果実は、球形のイチゴ状の集合果で、直径約1,5センチ、鮮赤色に熟して美しく、食べると甘く酸っぱい。

採集と調整

 イチゴ状の果実は、6~7月に鮮赤色に熟した頃に摘み取る。
 根は、地上部の枯れる頃の冬から翌年春に堀上、水洗いして日干しにして乾燥させる。
 茎葉の地上部は、6~7月頃の花の付くころに刈り採り、日干しにして乾燥させる。

薬効・用い方

 有効成分:根にはタンニン4~5%、フラボノイド配糖体などを含む。

 打撲傷やリウマチの痛みには、日干し乾燥した根20~30グラムまたは日干しした地上部20~40グラム、水0.4~0.6リットル、約半量まで煎じて1日3回服用すると痛みが緩和するという。

 苗代苺酒は、甘味と酸味が調和した薬用酒になる。
 鮮赤色に熟した果実を、200~300グラム採取して、約3倍量の25~35度のホワイトリカーを入れて、冷暗所の3ヶ月保存して材料を引き上げる。
 美しい澄んだ紅色の万人向きの美味しい薬用酒になる。

 また、熟した果実は、生食でも甘く酸っぱく美味いが種がざらつく場合には、ジュースやジャムに。

その他

 名の由来は、陰暦の5月頃の田植えの苗代の時期に鮮赤色に熟し食べられることから、ナワシロイチゴの名になった。

 中国では、ナワシロイチゴの根や地上部を乾燥したものを、生薬名で茅苺(ぼうばい)と呼び薬用にする。