りんご県産品種 アメリカ起源

出典:東奥日報

 リンゴはもともと乾燥したところに適する果物である。栽培リンゴのルーツをたどると中国とカザフスタンの国境となっている天山山脈に自生しているマルス・シーベルシが起源で、シルクロードを通ってヨーロッパに伝わった。

 私もリンゴの原産地をひと目見たいとカザフスタンやキルギスに出かけた。山の麓に行くとあちらこちらに野生のリンゴの木が点在していて、ピンポン玉サイズのものから300m以上の大きいものまであった。原産地は非常に乾燥していて、リンゴは乾燥地に適す果物であることを実感した。

 明治時代、主にアメリカ、フランスから多くの品種が日本に導入されたが、結局残ったのは「ロールス・ジャネット(和名・国光)」や「ジョナサン(紅玉)」などアメリカから導入した品種だけであった。これは食味など品種の特性によるところが大きいが、もうひとつの要因として、アメリカから導入した品種は日本の気候に合っていたためとも考えられている。

 最初にアメリカでリンゴ栽培が始まったのは、ヨーロッパからの移民が到着したボストンを中心とした東海岸のニューヨーク州一帯である。この地域は雨が多く、ヨ ーロッパから持ち込んだ品種がうまく育たなかった。移民たちは新たにリンゴの種をまいた。その地域の気候に合う品種が生き延びて広まり、日本に導入された「国光」「紅玉」らも生まれた。

 これらが衰退後、「スターキングデリシャス」が一時期青森リン ゴを支え、現在もアメリカ生まれの「ジョナゴールド」が主力品種として栽培されている。
 ちなみに「ジョナゴールド」を日本に最初に導入したのは、私の地元黒石市三島出身で青森県りんご試験場からヘッドハンティングされた元秋田県果樹試験場長の今喜代治氏である。