植物の生育に最適な土壌 団粒構造とは?

土の粒が適度にまとまり、水・空気・養分がうまく循環する

 野菜でも果樹でも、作物を育てる上では「良い土を作ることが大切」とよく言われる。その中でも、理想的な土とされてきたのが「団粒構造」である。しかし、団粒構造とは具体的にどのような状態なのか、なぜ作物の生育に良いのかを、説明できる人は意外と少ないと思う。
「ふかふかの土」「水はけの良い土」といった感覚的な表現だけでは、団粒構造の本質は見えてこない。団粒構造とは、有機物や微生物、植物の根の働きが関与して形成される、れっきとした土壌の構造であるためだ。

 団粒構造とは、土壌粒子が有機物と微生物の作用によって集合し、孔隙を伴い安定構造を形成した状態である。感覚的には、土の状態がバラバラでもベタベタでもなく、土の粒が適度にまとまり、水・空気・養分がうまく循環する土の構造を指す。水はけと水もちの両方に優れ、作物が根を張りやすい理想的な土の状態なのである。
 農業分野では古くから「団粒の発達した土は良い土」と感覚的に知られていたが、近年はその理由がより詳しく理解されてきた。

根の伸長が促進され、安定感のある植物が育つ

 団粒構造土壌では、団粒と団粒の間に形成された孔隙が、根の物理的な通り道として機能する。そのため、横方向にも下方向にも伸長しやすい。また、通気性が確保されていることで、根が呼吸に必要な酸素を安定して得ることができる。これにより、根の先端部が健全に保たれ、吸水・養分吸収能力の高い根系が形成される。根がしっかり張ることは、地上部の生育安定や倒伏防止にもつながる。

環境による水分・乾燥ストレスを受けにくい

 団粒構造の最大の特徴は、水はけの良さと水もちの良さを両立できる点にある。
大きな孔隙は余分な水を速やかに排出し、過湿による根傷みを防ぐ。一方で、団粒内部や微細孔隙には水分が保持され、乾燥時にも根が水分を利用できる。つまり、雨後に根が窒息しにくく、晴天が続いても急激に乾きにくいのである。

肥料効率が高まり、養分が安定供給される

 団粒構造の土壌では、肥料成分が雨水とともに一気に流亡することが少なく、作物へ肥料の安定供給がなされる。また、有機物や粘土鉱物が団粒内部に取り込まれることで、養分が土壌中に保持されやすくなる。

病害に強い土壌環境が形成される

 団粒構造が発達した土壌は、微生物のすみかとして非常に適している。
その結果、多様な微生物が共存するバランスの取れた土壌生態系が形成されやすい。このような土壌では、特定の病原菌だけが優占することが起こりにくく、いわゆる土壌病害が発生しにくい環境が整う。作物にとっては、病害リスクの低下は、生育の安定化につながる重要な要素である。

作物の生育が安定し、品質が向上する

 病気が少なく、水分・乾燥ストレスを受けないことにより、作物の生育の安定化につながる。生育の安定化とは、初期生育の立ち上がりがよいことや、その後の生育ムラが出にくいことである。その結果、収量や品質が安定しやすいといった効果が現れる。

 
出典:マイナビ農業