「小屋番 八ヶ岳に生きる」「飢えた鹿は有毒植物のトリカブトまで食べる」

国土の7割を山が占めるという「山国」日本。

 全国に350を超える有人の山小屋があると言われている。

 こうした山小屋を営み、山を住処にし、山を自然を、そして登山者を守る人たち「小屋番」。
 コンビニもない、車もない、自然と向きあう小屋番の日常は「過酷」そのものだ。
 それでも山に魅せられ小屋番として、その「過酷」な道を選ぶ人たちがいる。

 都会からアクセスもしやすく、初心者から上級者まで楽しめる八ヶ岳の中信高原国定公園。標高2,550mにある根石岳(ねいしだけ)山荘は、根石岳と箕冠山(みかぶりやま)の鞍部に位置している。

 この根石岳山荘に向かう道のりは、冬場は時に過酷になる。
 箕冠山山頂から山荘に向かって降りていく道は、距離は短いものの強風が吹くことで知られている。
 台風の暴風域にあたる風速25メートルを超える風が吹くこともあるという。

 そもそも鹿が樹皮を食べるようになったのには鹿の頭数が増え、餌が不足していることが影響している。

 ハンターの減少と高齢化や天敵のニホンオオカミの絶滅、温暖化による積雪量の減少などの影響で増えた鹿が、生息する地域で餌となる下草を食べ尽くしたため、空腹を満たすため本来は食べなかった植物まで食べるようになった。

「しらびそ小屋」のオーナー今井孝明さんは「最近では鹿は有毒植物のトリカブトも食べるし、貴重な高山植物コマクサなども食べてしまう」とため息をつく。

— 八ヶ岳の豊かな森をどう守るか —

「一番の対策は鹿の頭数を減らすこと」信州大学農学部の竹田謙一教授は八ヶ岳ならではの難しさを指摘する。増えすぎた鹿の数を減らすには狩猟が有効だが、ハンターの減少に加え、八ヶ岳のように登山者の多い山域では狩猟を行うのは簡単ではない。そのため、鹿の侵入を防ぐネットや防護柵を張るなど鹿の行動を制限するしかなく、決定的な対応手段がないのが現状だという。

 八ヶ岳の豊かな自然を愛し長く守ってきた小屋番たちは、明らかに今自分が見てきた風景が失われてきていると訴える。彼らは、この豊かな森が消えることを憂慮し、その自然を守るため、鹿の食害と闘っている。美しい森の中で鹿とどう向き合っていくのか。

 
出典:TBS NEWS dig