実は、農薬を使わず健康に育った野菜には虫がつきません。
今までの定説とは真逆の内容に驚く人もいるかもしれませんが、農薬なしでもきちんと栽培した野菜は、形も立派に育ちます。
なぜ虫が食う野菜と食わない野菜があるのか、それを理解するには光合成の仕組みからおさらいしていきましょう。
太陽の光を浴びて、植物は光合成をします。光合成とは植物が空気中の二酸化炭素を取り入れて、酸素と糖分を作ることです。酸素は空気中に排出され、糖分は地中から吸い上げられたチッ素と結びついてタンパク質に変わります。
野菜は、昼間は光合成をして、夜は糖分を使って養分を合成します。何らかの原因でこのサイクルがうまくいかなくなると、蓄えられた糖分は合成されずに残ります。
害虫が好むのは、このような糖分を多く含んだ葉です。虫は無農薬で育てた野菜にたくさんつくのではなく、合成する力がない弱い野菜につくのです。
虫食い野菜はこれまでの定説とは逆で、味も栄養分も十分ではありません。丈夫な野菜は糖分がきちんと合成されて、タンパク質やデンプン質に変わっています。タンパク質合成が苦手な害虫は、健康な野菜を食べません。これが、無農薬で育てた野菜に虫がつかない本当の理由です。
無農薬で栽培している野菜に虫がついてしまう具体的な理由な何でしょうか?
ひとつは、土の状態が悪く土地が痩せ過ぎていることです。
野菜が育つための土壌に十分な栄養分がなければ、野菜は健康に育つことができません。弱い野菜は害虫の格好の餌食になりますので、虫食いだらけになってしまうほか、味も栄養も落ちます。この場合は、有機肥料や堆肥などを投入して、しっかりと土壌改良する必要があります。
それぞれの野菜が持つ特性を見極めて、品種にあった土壌を作ることが大切です。ただし、肥料のやりすぎは逆効果になります。肥料にはチッ素、リン酸、カリウムの三大要素が含まれています。このなかで、チッ素はタンパク質を作り出して野菜を成長させる重要な養分です。しかし、チッ素が多すぎてしまうと、今度はタンパク質合成前のアミノ酸が増えすぎてしまいます。糖分同様、アミノ酸が多い野菜も害虫は好んで食べます。
もし無農薬で育てている野菜に虫がついているなら、土壌が栄養不足か、肥料の与えすぎで栄養過多になっているかのどちらかです。原因がどちらにあるのか、これまでの栽培方法を見直しながらしっかりと見極めることが重要です。
虫から野菜を守るには、まずは肥料の与え過ぎに注意します。
光合成で作られた糖分は、地中のチッ素を吸い上げるときのエネルギー源として使われるほか、アミノ酸を作る際にも消費されます。チッ素とアミノ酸が多いということは、野菜の糖分消費も増えるということです。
結果、野菜を成長させるタンパク質合成のための糖分量が足りなくなり、葉は薄くなり弱々しくなってしまいます。細胞壁の薄い葉は病原菌がつきやすくなるので、肥料の与え過ぎは野菜を不健康にする悪循環を作り出してしまいます。
害虫から野菜を守るには、防虫ネットも効果的です。トンネル栽培の葉菜類などによく使用されており、家庭菜園用から畑一面を覆うプロ仕様まで種類が豊富です。
種まきや植えつけが終わったらすぐにネットを貼るようにしましょう。畝の周りに杭を打ち込んだら支柱でトンネルを作り、ネットをピンと張ります。ネットと土のあいだにすき間が出ないように固定すれば完成です。すき間があるとそこから虫に入り込まれてしまうので、注意が必要です。
防虫ネットを貼るだけで、害虫の発生率はかなり少なくなります。万が一虫を見つけたら、卵を産み付けられる前にその場で捕殺し、周りの野菜に虫がついていないか、すぐに確認するようにしましょう。
以前は虫食いの無農薬野菜がおいしいといわれてきましたが、本当に安全で丈夫な野菜には虫がつかないことがわかりました。
無農薬の健康な野菜は、栄養価も高く味もおいしいです。
無農薬は虫がついていて食べたいけど食べられないと思い込んでいた人でも、これからは安心して手を伸ばせるのではないでしょうか。
無農薬での栽培は、熟練の技術ときめ細やかな管理が必要です。農家によっては品質に差が出てくるケースもありますので、野菜の状態をよく見極めるようにしましょう。
出典:アグリナビ

