ナギナタガヤによる果樹栽培

 

● は じ め に

 日本農業の長い歴史の中で誰も気付かなかったナギナタガヤという草の力。それを、日々の積み重ねの中で10年の歳月の中から引き出した、ある夫婦がいました。その方は瀬戸内の小島(愛媛県)でミカン栽培と共に40年を暮らす岡野さん夫婦だそうです。岡野さんが先駆者となって始まったナギナタガヤによる草生栽培は瞬く間に愛媛県のみかん農家に広がり、今では全国的に注目されすでに数多くの果樹農家が挑戦しているそうです。

● 当園もナギナタガヤに挑戦

 経費削減・労力の軽減・土壌の活性化に大きな期待ができることから、当園もナギナタガヤ草生栽培を導入することになりました。平成18年9月に種まきを決行しました。

● ナギナタガヤとは?

 ナギナタガヤは、秋に芽を出して冬から春にかけて育つイネ科の草です。草丈は最大70cmほどになりますが、6月上旬に自然に倒れ、中旬には枯れはじめます。倒れて敷きワラ状態になったナギナタガヤは地表を覆い、あとから雑草が生えないようにします。
 ナギナタガヤが倒れ敷き藁状態になりました
あとは枯れるのを待つだけです。
すだちの園内「2007/5/27撮影」
 
 

 ナギナタガヤもすっかり倒れほとんど枯れています
草の厚みは10cmほどあり藁を敷き詰めたように
見事です、そしてしっかりと雑草を抑えています。
すだちの園内「2007/6/17撮影」
 
● ナギナタガヤの特徴

(1)最初の年は9月~10月頃に種撒きする。
(2)約2週間後に発芽し、15cm位の草丈まで生長して越冬する。
(3)翌年3月頃から旺盛に生育する。
(4)5月~6月にかけて出穂・開花・結実し、6月中旬頃から自然に倒伏する。
(5)倒伏後、次年度用に種子を採取しておく。
(6)夏季の間、樹園地を敷き藁状に被覆し、雑草を抑制する。
(7)8月下旬頃から、こぼれ種が発芽する。
(8)9月~10月頃,発芽状態が悪い所へ再び播種する。このとき自家採種したものを用いる。

● ナギナタガヤ草生法の長所

(1) 除草および草刈りの不要(生産者にとってはこれがいちばんありがたい。)
(2) 表層土壌の浸食防止、干ばつに強い果樹園になる
(3) 草の根による土壌物理性の改善
(4) 腐植源としての有機物の補給
(5) 地温変動の緩和

● ナギナタガヤ草生法の短所

(1)短所を強いて言うとすれば、ナギナタガヤ草生を導入した傾斜地園では滑りやすいことである

● ナギナタガヤの栽培状況

 ナギナタガヤ栽培の様子はこちら
 北国・津軽のリンゴ産地にナギナタガヤ上陸

 

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