【日持ちする品種・しない品種】一石三鳥の硬いモモ

出典:現代農業

 

 モモの配送は全量クール便の時代がくる?

 当園のモモ栽培は祖父の代から始まり、私は2018年頃から手伝い始めました。おもに個人販売と農協出荷が中心で、ネクタリンの「サマークリスタル」「早生ワッサー」「スイートリッチ」と、白桃の「なつき」「あかつき」「川中島白鳳」「なつっこ」「川中島白桃」を栽培中。80aほどの面積ですが、多様な品種を育てているので、それぞれの特性や育てやすさがよくわかるようになってきました。

 地球温暖化の影響で、当園のモモの配送はクール便が前提となりつつあります。22年までは常温配送がメインで、クール便は輸送に2日以上かかる地域にしか使用しませんでした。というのも、モモは一度冷蔵してから常温に戻すと傷みやすいし、設定温度が0°Cに近いと低温障害を起こして味や食感が悪くなるからです。

 なるべく冷蔵は避けたいところですが、23年の猛暑は異常で、背に腹は代えられませんでした。品種によっては翌日午後に到着する地域でも、やむを得ず近所の冷蔵庫を借りて、8°C程度の低温で予冷してから出荷しました。

 常温発送でも問題なかった品種

 そんな温暖化という逆境のなかでも栽培しやすく、日持ちがよくて常温発送でも問題なく、消費者の評価も高いと感じた一石三鳥の品種。

果肉が非常に硬い「早生ワッサー」

 ワッサーは長野県須坂市にある、ネクタリンとモモの混植園で偶然発見された品種です。最大の特徴は果肉が非常に硬いこと。味はモモですが、硬めのリンゴのような食感がします。

 ワッサーには早生、中生(スイートリッチ)、晩生があり、なかでも早生ワッサーが生産、販売の面で優れていると感じました。収穫適期の7月末から2週間近く樹上でならせておけるので、労働配分がしやすいですし、お中元とお盆の需要が重なる時期にピッタリ出せます。また、白桃は収穫後、常温で2~3日以内が食べる目安ですが、ワッサーは常温でも5日間はおいしく食べられます。

 栽培も簡単で、人工受粉や袋掛けの手間もありません。スイートリッチと比べると若干糖度は劣るものの、23年はせん孔細菌病や灰星病などの被害果は半分程度。着色もよかったわりに日焼け果も少なかったです。

軟化でのクレームがない「なつっこ」

 あかつきと川中島白桃をかけあわせた品種で、果肉がしっかりしています。個人配送で得られた感想ですが、23年は同時期に収穫する人気品種の川中島白鳳と比べて軟化などのクレームがありませんでした。また、長野市では収穫時期が8月上中旬なので、早生ワッサーと同じく、お中元とお盆の需要を満たせます。

 川中島白桃などの白桃品種と違って人工受粉や袋掛けの手間も省けます。糖度は14~16度と高く、着色もよくて生理落果も少ない。さらに、せん孔細菌病への耐性もあると感じていて、無袋のなつっこのほうが有袋の川中島白桃や黄金桃よりも被害果は少ない印象でした。(長野市)