食べることで世界を救う「果実」

出典:水の文化センター

 

約12年間、フルーツ食を継続中
— 果実食だけで以前よりも健康に —

 現在、私は99.9%、フルーツを中心とした果実のみで生活しています。果実とは、植物の実と種の部分のことで、リンゴやミカン、スイカなどのほか、クリやナッツ類、トマト、キュウリ、ナスなども含まれます。残りの0.1%は塩と海藻(アオサ)で、これは果実ではどうしても摂取できないミネラルを補うためです。それ以外の肉や魚、葉野菜や根菜、穀物類は一切食べていません。水もお茶も飲みません。フルーツが体に及ぼす影響を観察するため、果実以外の要素は極力排除しています。

朝は起きたら一番に、夏場ならスイカ、冬場ならミカンなど、水分の多いフルーツを口にします。おなかを満たすより、まず喉を潤し、体に水分を補給することがなによりも大事だからです。あとは渇きを感じたら、そのつど、こまめにフルーツをつまみます。さらにしっかり食べたいときには「キラフル丼」と呼んでいる、数種類のフルーツやクリなどの果実の盛り合わせを食べています。

また、最近は食品ロスを減らすため、甘夏の薄皮やナシの芯などふだん捨てられる部位を入れた、果実だけの無水スープも飲んでいます。1日にフルーツだけで2kgくらい食べます。

このように徹底した果実食を12年近く続けていますが、健康診断で悪い数値は出ていません。でも、あくまで自己責任の実験です。私のような極端な食生活をほかの人に勧めるつもりはありません。

— フルーツが温暖化対策に —

 世界の陸地の3分の1は森林ですが、森林破壊は地球温暖化にもつながります。国連食糧農業機関(FAO)によれば、過去30年で日本の国土の11倍以上の土地の森林が消失しました。その原因の一つが、農業開発による森林破壊です。機械や輸送などのエネルギーを加味せず単純化すれば、穀物や野菜など草を栽培する田畑は毎年土地が更新されるため、二酸化炭素の排出はプラスマイナスゼロです。

ところが、樹木なら成長過程で大きく二酸化炭素を取り込むので、植樹は地球温暖化対策になります。植樹の経済化といえば、林業と果樹栽培です。なので、荒地や田畑が果樹園になれば、それだけで温暖化対策になります。

学生時代、研究で中国の内蒙古を訪れたとき、岩盤むき出しの荒山に、リンゴやアンズなどが植樹されているのを見ました。潅水(かんすい)せず雨水だけで、数年後には実がなり、生産者の収入になります。もうかれば荒地が果樹園になるという好循環に、環境問題に対するフルーツの可能性を見出しました。

避難所に届けた500kgの果実

 2016年(平成28)の熊本地震後、震源地の益城町から、フルーツを差し入れてほしいと依頼を受けました。私は和歌山の果樹農家の協力を得て、500kg以上の柑橘類とリンゴを益城町まで運びました。

フルーツを持ち込むと、避難所の空気が一変し、パッと明るくなりました。ハッサクや甘夏の香りに誘われて人々が集まり、みずみずしい果実を口にして笑顔が広がりました。涙を流して喜ぶお年寄りもいました。

避難所で提供される食事はおにぎりや弁当、菓子パンなどが中心で野菜が絶対的に足りません。そのためビタミン不足で風邪をひく人や、便秘になる人がとても多い。一般的に加熱調理が必要な野菜の代用となるため、 フルーツが果たす役割は非常に大きいのです。

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