代表的な緑肥を紹介。

出典:Think and GrowRicci

 


 ソルゴーは、生育旺盛な緑肥で、根の量が多いのが特徴です。大きく育ち、多くの有機物を土壌に補給します。元々高温を好む作物なので、対暑性は高いですが、秋まきからの冬越えはできません。

 土壌の物理性改善やハクサイ、キャベツなどの根こぶ病予防、ニンジンやダイコンのネグサレセンチュウ予防、バンカープランツ※そして大きく育つのを利用すれば、風の障壁にも役立ちます。

 エンバクは、寒さに強いイネ科の作物です。暖地では秋播きができます。センチュウ抑制効果が期待されるほか、耕盤層を貫通するほど深く根を張るため、土壌の物理性改善、初期生育が旺盛なので、雑草抑制効果も期待できます。なおエンバクの種子は飼料のほか、食用のオートミールとしても知られています。

 ギニアグラスは乾燥などに強い作物です。センチュウ対策や除塩作物としての使用がおすすめです。また肥料成分が少ない圃場でソルゴーを栽培すると、ソルゴーの葉が赤紫色になり生育が悪くなるといった連作障害が発生することがあります。ソルゴーを栽培しない期間には、ギニアグラスなど他のイネ科作物を導入するなどの対策が挙げられます。


 緑肥は景観作物としての需要もあります。とはいえ、ヒマワリの特徴は景観を良くするだけに留まりません。ヒマワリの根から排出される根酸には、土壌中の不溶性のリン酸を可溶性にする働きがあるため、植物がリン酸を吸収しづらい火山灰土の場所や気温が低くリン酸が吸収しにくい土地などで用いられています。


 緑肥はロータリーを使ったすき込みが一般的です。ただし、ロータリーに緑肥がからむことなくすき込むためには、短い期間で作業を行い、葉が青いうちに粉砕することが大切です。なぎ倒した後、何日も放置して緑肥が枯れてしまうと、ロータリーに絡みやすくなります。大きく育った緑肥も絡みやすいので、注意しましょう。

 農山漁村文化協会編『現代農業 2022年05月号』(農文協、2022年)では、ソルゴーをロータリー耕だけですき込んでいる農家の事例が紹介されています。その事例を簡潔にまとめると

  1. 1.5〜2mほどに育ったソルゴーをすき込む
  2. 1回目の耕転では、トラクタの速度はゆっくり、ロータリーの回転は速くし、なぎ倒すイメージで行う
  3. 2回目の耕転では、倒れているソルゴーを粗く粉砕しながら、やや深めにすき込む
  4. 3回目の耕転では、より細かく粉砕するため、1、2回目の場所から少しずらして行う
  5. 翌日、もう一度耕す

となっています。