赤ミズ(ウワバミソウ)

出典:みんなの農業広場

~ 由来と特徴 ~

ウワバミソウは、イラクサ科ウワバミソウ属の植物です。「赤ミズ」、「ミズ」、「ミズナ」などと呼ばれています。

名前のとおり多汁質の山菜で、山間地の日陰の湿地や渓流の近くに多く自生しており、全国に広く分布しています。

雪どけ間もない早春に萌芽が始まり、夏には条件が良いと草丈が80cm近くにも達し、晩秋になると地上部の茎葉が枯れ、地下部には新芽を形成して冬季の休眠に入ります。休眠は、他の山菜同様、低温により打破されます。

生育適温は約20℃前後で、やや低い気温を好み、夏の高温期には生育が停滞します。新芽は低温に弱く、萌芽間もない茎葉が晩霜害を受けることがあります。また、直射日光により日焼けしやすいため、生育期間中は70%程度の遮光を行う必要があります。

山菜として食用にする部分は茎で、山形県では5月から茎の硬くなる前の6月までが採取期間ですが、初秋以降、葉の基部に着生する肉芽(呼称「ミズ玉」など)も食用にされます。

宿根性の山菜のため、雑草対策が重要です。自生地の環境条件を考慮しながら、創意工夫してください。

大量に増やす繁殖方法
繁殖は、肉芽を用いると効率良く行うことができます。葉の基部に着生する茶褐色の肉芽は、秋になって茎葉が枯れるのにしたがって地上に落下し、翌春、芽を出します。自生地から肉芽を採取する場合は、落下してから行うと、落ち葉に埋もれて採取が困難となるので、10月下旬(山形県の場合)までに行います。

肉芽は大きいものほど出芽率や出芽後の生育が良いので、なるべく大きなもの(約0.2g以上)を採取します。

採取する肉芽の数量は、栽培面積1a当たり約2,000株の苗が必要になるので、必要苗数の一割増しを目標に行います。

肉芽には休眠があるため、採取した肉芽を網袋等に入れ、屋外の土中や家庭用冷蔵庫で貯蔵します。屋外で貯蔵する場合は野ねずみに、冷蔵庫で行う場合は乾燥に注意してください。
執筆者
公益財団法人 やまがた農業支援センター
阿部 清