未来の食糧危機はコメが救う!?「再生二期作」

出典:Smartagri
 

 今夏の猛暑は、日本の米生産に大きな影響を与えた。夏場の高温が続いたことが原因となり、米の白濁(シラタ)が全国各地で発生。また、2018年には出穂・開花期の高温により、通常より高い割合で不稔が発生した。登熟期の高温に弱い品種と言えば、日本中で愛されている「コシヒカリ」だが、今年も多くが高温障害の被害を受けた。

 この地球温暖化を逆手に取った攻めの解決策を、農研機構の研究チームが発表した。それが「にじのきらめき」の再生二期作。研究者チームは2021年2022年の栽培試験の平均で、一般的な反収(482kg/10a)のおよそ2倍にあたる、950kg/10aを達成したという。

 ところが2023年10月、農研機構が注目すべき技術を発表した。それが「にじのきらめき」の再生二期作だ。

 再生二期作(図1)とは、収穫後の切株から発生するひこばえを栽培・収穫する二期作のこと。通常の二期作で必要とされる二期作目の育苗や移植が不要なので生産コストの削減が期待できるうえ、適切な管理を行うことで二期作目の収穫をプラス分として増収を見込むことができる。

 農研機構九州沖縄農業研究センターは、水稲の再生二期作を継続して研究している。2020年には、2017年と2018年の栽培試験に基づく研究成果「温暖化条件下で威力を発揮する水稲の再生能力を活かした米の飛躍的多収生産技術」として、多収系統の再生二期作栽培により極めて高い収量が得られることを発表している。

 今回発表した技術はその続編にあたる。前回の試験は特別に仕立てた多収品種で行われたが、今回の試験は主食用として開発され、広く販売されている「にじのきらめき」で行われ、社会実装に一歩近付いた印象を受ける。

 研究担当者を務めたのは、農研機構九州沖縄農業研究センター 暖地水田輪作研究領域グループ長補佐の中野洋さん(現・中日本農業研究センター転換畑研究領域)。

「九州地域は、国内の他地域に比べて春や秋の気温が高く、水稲の生育可能な期間が長い、つまり早く移植して遅く収穫できる、という特徴があります。そのうえ地球温暖化の影響で春や秋の気温も上昇しており、今後さらに生育可能期間が長くなると予想されていますから、再生二期作が今以上に有効な栽培方法になる可能性があるのです」

 今回の試験で使われた品種「にじのきらめき」は主に業務用米に用いられている。そこで特に求められるのは、低コスト生産。再生二期作はそれに資する技術として研究されている。