身近にある植物で農薬を作る

出典:Think and Grow Ricci
 

抽出方法

 成分の抽出方法には主に「煮出す方法」と「アルコール・酢に浸ける方法」があります。農薬として役立つ植物の成分は大まかにアルカロイド、フェノール類、テルペン類に分けられます。アルカロイドは水に溶けにくいものが多いので、アルコールまたは酢で抽出する方法が向いています。フェノール類は水に溶けやすいものが多いため煮出す方法が、テルペン類は大部分が疎水性(水に溶けない)のため、アルコールでの抽出が向いています。

煮出す方法

 用意するものは、素材として利用する植物と水、鍋、濾すための布(またはストッキングなど)、保存容器。鍋は土鍋やアルミ、ステンレス製のものを用意してください。鉄製の鍋は植物の成分にタンニンが含まれる場合、タンニンが鉄と結びついてしまい、タンニンの効果が落ちてしまうのでおすすめしません。煮出した後、抽出液が冷めてから保存容器に注ぎますが、保存容器には熱いものを入れられ、中身も見えるガラスビンがおすすめです。

 植物を3〜4cm幅に切っておく

  1. 植物を3〜4cm幅に切っておく
  2. 1.を鍋の半分くらいまで入れ、水をヒタヒタになるまで入れる
  3. 2.をとろ火(弱火よりもさらに弱い火加減)で30〜40分煮る(植物の芳香成分の効果が必要な場合には、長時間火にかけると芳香成分が
    揮発してしまうため、加熱時間は4〜5分)
  4. 鍋が冷めたら、布で濾しながら抽出液を保存容器に移し、日陰で保存する
アルコールに浸ける方法

 用意するものは植物、焼酎(ホワイトリカーなど)などのアルコール類、保存容器です。抽出方法は簡単で、保存容器に素材とアルコールを入れて浸けこむだけ。アルコールに有効成分が溶け出すので、約1〜2ヶ月間浸けます。

酢に浸ける方法

 用意するものは植物、酢、保存容器のみ。酢は穀物酢、玄米酢、果実酢、クエン酸液、木酢液が利用できます。酢による抽出方法はアルコールの場合とほぼ同じです。ただし、保存容器の素材に注意してください。鉄製容器を使うと、酸の作用で欲しい成分に鉄が溶け出してしまうので、鉄製のものは使用しないでください。煮出す方法同様、ガラスビンがおすすめです。

保管方法

 煮出して得た抽出液はおよそ2ヶ月保存できます。とはいえ、アルコールや酢で抽出したものに比べ、長期保存がきかないので、作ったら早めに使い切りましょう。煮出したものもアルコールや酢で抽出したものも、直射日光の当たらない日陰で保存してください。

使い方

 いずれも原液では使いません。希釈して使います。

『身近にある植物で農薬を作る①植物が持つ殺虫・殺菌、抗虫・抗菌作用について』では、さまざまな植物素材を紹介していますが、日常づかいに向いている毒性のないものであれば500倍前後に希釈して散布を行います。毒性のある、殺虫・殺菌作用が強いものは、1000倍ぐらいに希釈して使いましょう。

アルコールで抽出した液を散布する場合は、800倍ぐらいに希釈して使用します。アルコールには脱水作用があるため、高い濃度で散布すると葉が枯れてしまいます。はじめは800倍ぐらいに希釈し、農作物の様子を見ながら少しずつ濃くしていきましょう。