タラノキ 根挿しの発芽実験

出典:南アルプス36

 みんな大好き!山菜の王様・タラの芽。
春の訪れと共に山で収穫した大量のタラの芽の天ぷらを腹一杯食べてみたいと夢想してみるものの、あったとしても手が届かないくらいに成長している…。
どうやら夢の実現のためには、自分で栽培するしかなさそう(買うのは負けた気がするしね笑)。根を使って増やすのが最も効率が良いらしいのだが、どのような根が良いのか分からなかったので発芽実験をしてみた。

タラノキの生態

 日本の北海道・本州・四国・九州・沖縄のほか、朝鮮半島、中国、千島列島、サハリンの東アジア地域に分布する。平地から標高1500メートル以上までの原野、河岸、森林、林道脇など日当たりの良い山野に自生する。いわゆるパイオニア的な樹木であり、たとえば伐採跡地に素早く出現し、大小の集団を作って群生する。

根を掘り出す

最も大きく育った5-6mくらいある木の根を切り出した。
 

 
大・中・小に分けタラノキを根挿しする

根挿しの適期は3月中旬〜5月ということなので、山間部のため5月12日に切り出し及び根挿しを開始した。
切り出してきた根を5cm程度に切り分けた。
先端の細いヒゲ状の根の部分は5cmで切るとバラバラになってしまうので、15cm程度に切り分けた。

およそ1ヶ月後の6月15日4ポットで発芽。
およそ2ヶ月後の7月4日に計16ポットで発芽。

発芽率:【極細】50%【細】15%【太】12.5%【極太】0%。発芽したポットの根を掘り起こしてみると、細い根の分岐部分から発芽して、そこから新しい根が出ていた。
発芽しなかった【極太】グループを掘り起こしてみたが、発芽や発根が全く見られなかった。根が若干腐敗していた。

 事前に調べた情報では太い根が良いということであったが、それとは全く逆の結果になった。
今回の実験からはより先端の細くてヒゲ状部分の根の発芽率が高いということが言える。
根から発芽するということは細胞が分化(本来同一のものが異質化すること)することだが、古い細胞(古い根)はこの分化の能力を失ってしまうのだろう。
事前情報の太い根がいいというのはタラノキ自体が若い木で太い部分の根でも分化する能力を失っていない事が前提になっていたと推察する。
これを踏まえてまとめると、若い細胞を持つ根を使うのが良いということになる。
大きくなったタラノキの根の場合は先端の方の太さ1cm程度で細い根がついているものが良い。
大量に栽培していて若いタラノキがあれば、その太めの根を使うのが良いと考えられるがこれはまた次回実験してみたいと思う。