ソルゴーの防風効果と害虫防除効果

出典:Think and Grow Ricci

 

農作物の天敵となる益虫を呼び寄せ
害虫を捕食し病虫害から守る

 バンカープランツや耐風対策、緑肥などとして広く栽培されているソルゴー。

ただ植えておくだけで、畑の作物の防虫・防風ができるのは嬉しいですよね。

ソルゴー(ソルガム)とは?

 ソルゴーとは、ソルガムとも呼ばれるイネ科の一年草で、モロコシの一変種でもあります。

アフリカ原産で、暑く乾燥した地域でもよく育つのが特徴。日本では防風対策用や緑肥用に改良したものが多く利用されていますが、アブラムシを退治する益虫を寄せ付ける特性があることから、近年はバンカープランツとしても注目されています。

ソルゴーの生態

 背丈は1m前後のコンパクトなものから、中には3m近くになるものも。各種苗メーカーから多くの品種が発売されていますので、用途によって使い分けましょう。
播種時期は基本的には5~8月で、播種から40~60日ほどで出穂します。

ソルゴーの主な効果

 ソルゴーには主に4つの役割があります。

・バンカープランツとしての役割
バンカープランツとは、農作物に発生する害虫の密度を減らす目的で、農作物の周囲で戦略的に栽培する植物のことを指します。

バンカープランツは農作物の害虫の天敵となる益虫を呼び寄せ、常に待機させておく場所。作物に害虫が発生したときにはその益虫がすかさず出動します。

ソルゴーはナスと組み合わせて栽培される例が多く、ソルゴーに寄ってくるテントウムシやカメムシが、ナスに発生するアブラムシやアザミウマを捕食し、ナスを病虫害から守ることができるのです。

・防風対策としての役割
 ソルゴーは畑の作物の周りをぐるりと取り囲むように植えると、防風効果があります。普段から風の強い地域や、台風対策として多く用いられています。また、海の近い地域では作物を塩害から守る効果も期待できます。防風対策に使用するソルゴーは、草丈が高く茎が丈夫で折れにくいものを選びましょう。

・緑肥としての役割
 同じ作物を続けて栽培する場合、心配されるのが連作障害です。しかし、間にソルゴーを栽培すると、土壌バランスを整えることができます。また、栽培したソルゴーを畑に鋤きこむと、有機物を土壌に還元することになり、肥料を分解してくれる微生物を繁殖させます。さらに、土中に団粒構造ができ、水はけや保肥力を高める効果も期待できるのです。

生育旺盛で管理の楽なソルゴーは、作物の間作として短い期間に栽培するのに適しています。また、ソルゴーはイネ科なので、ナス科・アブラナ科・ユリ科・イモ類などあらゆる作物と組み合わせられるのも魅力のひとつです。

ソルゴーを使用する際の注意点

・作物から2m程度は離して植える
ソルゴーは生育が速いため、作物の際に植えてしまうと、日陰をつくったり作物の管理作業の邪魔になることがあります。防風対策やバンカープランツとして使う場合は、作物より2m程度は離して植えましょう。

・用途によって品種を選ぶ
ソルゴーにはさまざまな品種があります。使用用途によって適切なものを選びましょう。ここでは用途別に代表的な品種をご紹介します。

「バンカープランツ用」
タキイ種苗株式会社 ソルガム・メートルソルゴー
背丈が低く(120-130cm)、ハウス内でも使用可能。

「防風対策用」
カネコ種苗株式会社 おおきいソルゴー
草丈3-4mになる。適宜必要な高さに刈り込みできる。耐倒伏性に強く、葉数が多いため防風対策向き。

「緑肥用」
雪印種苗株式会社 グリーンソルゴー
短期間で育つため、輪作に最適。窒素、カリの吸収力が強いため、圃場内の余剰肥料を除去する。

・生育時期によって鋤き込み方法を変える
草丈1~2m程度のソルゴーを緑肥として鋤き込む際は、トラクターで普通に耕しても問題ありません。しかし、耐風用やバンカープランツとして長く栽培したソルゴーの茎は硬くなっています。

トラクターでそのまま耕そうとするとロータリーにからまり、機械が傷む原因となってしまうので、ハンマーモアなどで裁断したり刈り払い機で一旦刈ったりするなどしてから耕しましょう。