マツムシソウ(松虫草)

 

1.jpg マツムシソウは北海道から九州に分布する多年草。ブナ帯などの山地草原に生育する。草丈は高さ50~90cmで美しい淡青紫色の花を咲かせ、草原の初秋をいろどる。花は長い柄の先端に形成され、多くの花が集まった頭状花を形成する。花序の直径は4cm前後で総苞片は線状。中心部の花は筒状で花冠の先端は5の裂片つに分かれ、周辺の花は3つの裂片が大きく外側に伸びる。ちょうどキク科の筒状花と舌状花に相当する。雄しべは4本で、葯は青い色が濃い。
 マツムシソウの名前の由来は、マツムシの鳴く頃に咲くからであるとのこと。真偽の程は別として、初秋を感じさせる花である。
 マツムシソウは多年草であり、ロゼットを形成する。生育地ではロゼットの個体が多く、開花に至る個体は多くはないようである。直根が深いとのことで、タンポポのように太い直根を持つロゼットで厳しい立地に生育し、開花に至るまでは相当の年月を必要とするのではないかと思う。ロゼットの葉は羽状に分裂しているが、それぞれの裂片は大きい。茎葉は深裂し、細長い。葉の表面と縁には毛がある。裏面には短い毛が密生し、脈上には長毛が散生する。葉の質は結構丈夫で、軽い踏みつけには耐えるのではないかと思う。
11.jpg マツムシソウはブナ帯域などの山地草原に生育する。この画像を撮影した場所は、岡山県森林公園の海抜約1000mほどのピークである。周辺には背丈の低いブナが生育しており、放置すればやがてブナ林へと遷移する立地である。園路整備のために丁寧に刈り取りがなされており、山頂付近は草地となっている。マツムシソウの開花がない時期には、お弁当を食べる広場になっているに違いない。山頂に至る幅2mほどの山道ではまったく生育が見られなかった。ロゼットを形成する植物なので、他の背丈の高い植物が生育すると生育が困難であるはず。刈り取りだけでは他の植物がすぐに生長してしまい、生育が困難なのであろう。マツムシソウやアキノキリンソウなどが群生する美しい草原ではあるが、人間の作り出した自然の一つである。
 本来の生育地はどんなところであろう? と探してみると、傾斜45度を超える急傾斜地の露岩のそばに点々と開花しているのが見える。このような、積雪と雪崩のあるような急傾斜地では樹木の生育がほとんどなく、マツムシソウも生育が可能と思われた。温暖化が進行すると積雪が少なくなり、樹木が定着してこのような植物の生育は困難になるのではないかと思う。

12.jpg薬効・用い方
有効成分は、イリドイドのロガニン、スエロシッドを含有していて、血液の流れを促し、血管内の血小板凝集を抑制する作用が認められている

脳血栓、心筋梗塞の予防などに、乾燥した全草を1日量10~20グラムを水0.4~0.6リットルで煎じて、3回に分けて食後に温めて服用するという
【参照先不明】

 

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