6月の白神は山菜畑だった

 

6月15日・曇り夕方一時雨
  初めて白神に出かけるなら6月の半ばが良い。この時期白神の辺りは梅雨前線の影響は少ない。イワナは昼間から羽虫を追ってライズを繰り返しているし、多くの山菜が一面に旬を迎えている。
 八森では秋田のS君と落ち合う。S君は10年来の私の釣友で半年前までは埼玉に住んでいたんだけど、今は故郷の秋田に帰ってきている。最初車デポ地から入渓地点まで送って貰うつもりで彼にお願いしていたのが、何時の間にか一緒に行く事になっている。

 国道沿いのパーキングで、共同装備と食料を振り分けパッキング。S君には今夜のチゲ汁用のキムチと肉と野菜の用意をお願いしてあったが、差し出されたキムチを見て、愕然。なーんと、瓶の中味はカクテキだ。S君は「オレに食料の買い出しをさせるほうが悪い。」なんて開き直っている。こんな朝っぱらからキムチを売っている店なんて開いてないから、まあ仕方なかんべー、と青秋林道に向けて出発した。

 青秋林道入り口には番人付きゲートがあって、この番人と世界遺産への見解の相違でひと揉めあったが(話すと長くなるので割愛)なんだかんだと上手い事言って青秋林道終点(三町村界峰)に車デポ成功。S君の車に乗り込み、真瀬川中ノ又沢の林道終点へ移動した。

 10時出発。真瀬川中ノ又沢沿いの山道を暫く進んで行くと何時しか沢歩きとなり、11時半、チョロ流れとなった所で休憩。腰を降ろし昼飯を喰っていると、目前にコシアブラの大木を発見し、いきなり大量収積。そしてコシアブラの次はタケノコ。辺り一面、凄い根曲がり竹の薮なのだ。小1時間で各自1キロ程収積し、13時頃、漸くザックを背負い、赤石川支流の滝川を目指して歩き出した。

 竹薮の広い尾根を、暫しの計器行動で滝川へ降りていく窪を見付け、急下降。10m位の滝を右岸から巻き降りると、滝川の支流西ノ沢に出た。西ノ沢はちょこちょこ小滝があるものの概して歩き易く、走るイワナを蹴散らしながら下降していくと、今度は左岸の台地にシドケを発見。歩きながら適当に折って行くが、すぐにスーパーの袋一杯になってしまった。滝川出合近くになってウドとタラノメを追加。

 滝川に降り立ったのはもう16時近かった。5分程上流に幕場があり荷を降ろす。徹夜明けで疲れも最高潮。もうこのまま座り込んで、飯喰って酒飲んで寝てしまいたい気分だけど、やっぱり焚火はしなきゃいけないし、採ってきた山菜はこしらえなきゃなんないし、釣りもやんなきゃ。という訳で重い腰を上げる。

 薪は、幕場対岸のガレ場の下に沢山有りそう。早速拾いに行ってびっくり。何とそこは山菜畑だった。雪渓の消え際に蕗の薹。その下には食べ頃のコゴミがごっそり。更にその下手には山葵がびっしりだ。も-たまんねっす。

 幕場が整い、焚火に火が付くと、待ちに待った宴会の始まり。ビールで乾杯し、手早く作った摘みなどを食って人心地ついたところで、魚釣り夕イムである。最近このパターンが多いなー、なんて思いながら、皆の注目の中、幕場前の溜まりに毛鈎を流すと一発で来た。9寸程の良いイワナだ。これを見た大木さん、急に目をらんらんと揮かせてルアー竿を取り出し、第一投。8寸級が釣れる。第二投。また8寸級が釣れた。次は吉野さん。「サンダルフィッシングだー」と言いながら膝まくりをして上流ヘ。2度、3度と竿が曲がるのが見えたが、5分程して何匹かイワナをぶら下げて戻って来た。

 さっき対岸で採った山葵を擦り下ろしてイワナの刺身を食い、書き出したらきりが無い程の山菜料理を食いカクテキチゲも食って腹一杯になり、シュラフに潜り込んだ。
【参照先不明】

 

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