むかごめし

 

 山芋(自然薯)につくむかご(零余子)は、晩秋の落葉と同時に、ポロポロと地上にこぼれ落ち、条件がよければ、翌年春、芽を出して成長します。古くから山芋掘りのため山を訪れた人がこれを拾って帰り、秋の味覚として楽しみました。
 山芋のむかごは、他の栽培芋のものよりねばりがあり、味もよいので珍重されます。
 調理に当っては、水洗いしただけで、そのまま使ってもよいのですが、水からゆでてアクを抜いたり、すり鉢の中でかきまぜ、表皮をすり落してから使用すると、一層おいしくなります。
 このあたりでは、古来「八朔」の日に、むかごと適量の塩を加えた「むかご飯」をたいて神様に供え、家族も食べる風習がありました。今は五目飯にむかごを加えた、おいしいご飯が作られています。このほかのむかごの食べ方としては、煮豆の要領でゆっくり味を含めて煮たり、油で炒めて塩味をつけたりします。また正月の煮豆に入れると縁起がよく、子供がふえると言い伝えられています。
 むかごは、日持ちがよく、常温でもかなり長期間置けますが、布に包んで、砂や土の中に埋めておくと乾燥が防げるので、愛好者の間では、この方法で貯蔵されています。
 むかごは、俳句の季題にもなって風雅の人たちに愛されていますが、とくに山里に生きる人たちには、自然が贈るつややかな珠玉とも見えたことでしょう。
【参照先不明】

 

Post a Comment

Your email is never published nor shared. Required fields are marked *