オウレン

 

1.特性
?キンポウゲ科の常緑多年草で,根茎は短くてやや太く地中を斜めに横走し,多数の黄色のひげ根を出す。葉の形の違いにより,キク葉形,セリ葉形,コセリ葉形の3種類に分けられる。冷涼適湿の日陰地を好み,高温乾燥は不向きである。冬の寒さには強く,林内の土壌が凍結しても春には新芽を出す。本県では,県北地帯の樹林地内にセリ葉形,コセリ葉形の自生が見られる。コセリ葉形は,根茎が細く少ないので栽培には用いられない。
2.薬効と用途
?オウレンは,生薬名を黄連といい,苦味健胃薬として有名である。根茎からひげ根を取り,乾燥後残ったひげ根を焼き磨いたものをミガキオウレンという。根茎はベルベリンという成分を含有し,健胃整腸の他,精神安定等の薬効もある。腹痛,下痢などに1日数回0.3?0.5gの粉末または煎剤を用いると良い。漢方では重要薬草の一つである。
3.栽培
(1)育苗
?増殖は実生法によって行う。普通,花は3月下旬には咲き初め,種子は5月中旬ごろから採取可能となる。しかしその年の気候により,10日程度のずれは良くあることで,十分な完熟を確認してから採取する。未熟な種子は貯蔵中に腐敗する危険が高い。種子の採取は花茎ごと摘み取り,後で種子だけに精選する。
?精選した種子は,播種まで砂と混ぜて貯蔵する。砂は含水率10%程度が良く,これは,砂を軽く握って手を開いたときに,砂の団子が3つに割れるくらいの状態である。種子を3倍の砂と混ぜ,夏場の高温を避けるため,日中,日の当たらない場所や林内等へ土中埋蔵とする。
?播種は10月下旬から12月下旬に行う。畑地で育苗する場合は,播種前に堆肥,ケイフンの腐熟したものを施し,全面ばら蒔きとし軽く覆土する。発芽後は遮光を行う。林内で育苗する場合,播種床は軽く整地するか,等高線沿いに畝を切る。林内では,発芽後雑草に被圧される場合が多く,播種前に播種床へ除草剤を施用しておくと,発芽直後の雑草の影響を軽減させることが出来る。発芽後は畑地,林内とも,年2,3回の除草と,年2回程度の施肥を行う。施肥は有機質肥料が良いとされるが,化成肥料でも問題はない。播種から2,3年で移植できる大きさになる。
(2)植付
?林内に直播きをしてそのまま栽培する方法以外は,苗の植え付けを行う。オウレンは移植が容易で,真夏,真冬を除けば可能であるが,作業の能率や,苗の生長状態などから,10月ごろに行うのが一般的である。
?植付床は,播種床同様軽く整地し,等高線に沿って畝間30cm,株間20?25cmに植え付ける。
苗は大苗と小苗に分け,大苗なら3?5本,小苗なら10本程度を1株とする。
(3)管理
?林内の場合,自生場所の環境に近いため,植栽後の管理は,条件に恵まれればほとんど手をかけることなく栽培することが出来る。しかし,収穫までの年数を短くしようとする場合や,栽培地の条件が十分な適地とはいえない場合などは,それに見合う管理を行う必要がある。
?除草は重要な管理の一つで,最低年1?2回行うと生育が良い。施肥については,粗放的な林内栽培では必要ないとする場合が多いが,栽培試験の結果では化成肥料(N:7,P:7,K:7,N量で4g/m 2 )を春季2回施用することによって,無施肥区よりも1.8倍の生長を示しており,栽培期間の短縮等から必要に応じて施用すると良い。ただしオウレンの場合,アルカリ性土壌を嫌う性質があるから,木灰や石灰の施用は避けたほうが良い。これは育苗時にも同じである。
?陽光の強さは,白然光の30?40%程度が適当だが,移植後5,6年までは70?80%の遮光が良いとされる。林内では最適の光環境を確保することは難しいが,育林上最低限必要な量の間伐や枝打ちを行うことによって,良好な条件に近づけるようにする。病害虫の発生はほとんど無く,消毒の必要はない。
4.収穫,調整
?林間栽培の場合,普通,定植から収穫まで最低10年を要するといわれるが,施肥などの管理を行うことにより,収穫までの年数を短くすることが出来る。オウレンは,年数や大きさによる収穫の時期が明確に定められていないので,生長の状態や,価格の動向なども考えながら収穫すると良い。収穫は全草を掘り取って,葉,ひげ根を取り除き,根茎だけにしたものを乾燥させ,取り残したひげ根を焼いて,ミガキオウレンとする。
【参照先不明】

 

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