オオバギボウシの種子による大量増殖と実生苗の株養成法

 

[要約]

 オオバギボウシの種子を採種・乾燥貯蔵し、これをは種・育苗する実生苗の株養成法を確立し、これにより、数千倍への増殖と養成期間2~3年で養成目標300g以上の根株ができる。

[背景・ねらい]

 近年、地域特産物としてオオバギボウシ(ウルイ)が注目されている。増殖は従来山取株の株分けによって行っているが、増殖率が低く1年間で数倍にしか増えない。そこで種子による大量増殖法と実生苗の株養成法を確立する。

[成果の内容・特徴]

採種、種子の貯蔵
1) 10月以降に裂夾していなくても褐色になったサヤごと採取し、日陰干しする。サヤが乾いたら種子を取り出す。
2) 風乾させた種子を紙袋に入れ、自然温(暖房のない室内)で貯蔵する。1月下旬は種から発芽がそろう(図1)。
育 苗
1) は種は水稲育苗箱を用い、1枚当たり種子1.3g(およそ400粒)をばら播き、厚さ5mm程度覆土し、は種後は温度15~20℃に保つ。
2) 本葉2~3枚になったら直径6cmポットに鉢上げをする。
3) 本葉数6枚以上、葉の長さが10cm程度になったら定植可能となる(表1)。
4) 加温施設を用いると2月は種で、最も生育が安定する梅雨時定植ができる(表1)。
5) 露地育苗では十分な気温が得られる5月上~中旬には種する。日陰で管理し秋に定植する。
6) 以上の手順により数千倍に増殖できる。
株養成
1) 植え付け時に緩効性肥料で窒素成分2kg/aと完熟堆肥500kg/aを施す(データ略)。
2) 栽植様式は、畦間105~110cm、株間30cm、条間25cmの2条植えとする(表2)。
3) 畦に黒ポリマルチを被覆する(表3)。
4) 強日射条件を避け、日当たりが良い場合は夏期間(6~9月)に遮光率50%ネットを被覆する。また、干ばつ状態が続く場合はかん水を行うのが望ましい。
5) 株養成の目標は根株重(根長20cm調整)300g以上とする(図2)。養成期間は2~3年である。
[成果の活用面・留意点]

充実した株から採種する。
育苗期間が長いので鉢上げ1カ月を過ぎた頃から、葉色や生育をみながら適宜液肥で追肥を行う。
根株を促成栽培に利用する場合、根株重300gを目安に掘り取る。必要以上の養成は掘り取り労力の増加をまねくので注意する。
実生株は生育特性にばらつきがある。
【参照先不明】

 

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