福岡正信氏の自然農法

出典:ジャパン・フォー・サステナビリティ (スタッフライター・米田由利子)

福岡式自然農法
耕さず、肥料も農薬も使わず、除草もしない農法があります。「自然農法」です。

自然農法センター

自然農法について、福岡氏は著書の中で、次のように語っています。「健全な稲を作る、肥料がいらないような健全な、しかも肥沃な土を作る、田を鋤(す)かなくても、自然に土が肥えるような方法さえとっておけば、そういうもの(田を鋤(す)く-土を浅く掘り起こす、堆肥や化学肥料をやる、農薬をやること)は必要でなかったんです。あらゆる、一切のことが必要でないというような条件を作る農法。こういう農法を私はずっと追求しつづけてきたわけです。そして、この三十年かかって、やっと、何もしないで作る米作り、麦作りができて、しかも、収量が、一般の科学農法に比べて、少しも遜色がない、ということころまで来た」。

福岡式自然農法には、不耕起、無肥料、無農薬、無除草という四大原則があります。不耕起とは耕さないことで、農家の常識では理解しがたい事のようですが、松本氏は「耕した土は乾燥しやすい」と言います。また、有機肥料を含め堆肥をやると、作物を過保護にしてしまいます。無肥料にすることで、強靭な作物ができ、味も濃くなることを実感しているそうです。無除草に関しては、雑草を根から抜くのではなく花の咲く頃を見計らって刈るそうです。そして刈った雑草はそのままその場所に倒しておくと、夏は保湿、冬は保温の役割をしてくれ、腐って肥料にもなります。

また、水も極力やりません。水をやらないと、根が水をもとめ、地中深く根を張っていきます。ところが水をやると植物は簡単に水を手に入れることができ、根は浅くしか張らない、弱い作物になってしまうそうです。

種まきの際には、さまざまな種をまぜて、バラバラに蒔きます。そうすると、その場所と相性のよい作物が出芽します。そのため、どこに何が生えてくるか、まったくわかりません。福岡式自然農法は、傍から見れば、植物が乱雑に植わって、ほったらかしの状態に見えます。見方によっては荒れ放題の畑のように見えるので、隣接する農家や近所の人は嫌がるそうです。野菜が整然と並んだ畑が常識の日本では、なかなか周囲に理解されにくい農法なのかもしれません。