ナツハゼ増やし特産品に 国内初、県林業研が研究

 

 健康効果が高いとされる国内種のブルーベリー「ナツハゼ」の産地化を目指し、福島県林業研究センターは国内初の増殖技術を平成25年度までに確立させる取り組みを始めた。挿し木から苗を増やす独自のノウハウを開発し、県内の農家に提供する。一方、インフルエンザに対するナツハゼの実の予防効果が他のブルーベリーの中でも際立って高いことが福島医大の研究で判明した。産地化が進めば、本県の新たな特産品になると期待される。
 ナツハゼは日本が原産の野生種。根が生えにくい性質があり、他の果樹と同じように枝の一部を土に植える「挿し木」をしてもうまく育たない。このため栽培農家は山中などから果樹を根ごと畑に植え替えている。
 センターは健康効果に加え、苗を育てて増やす技術が国内で確立されていないことに着目。産地化によりナツハゼの実を使った本県オリジナルの特産品づくりを後押ししようと、山中から多数の野生ナツハゼを収集し、研究を続けている。
 今後、枝の状態や植える時期などを変えて挿し木し、最適な栽培方法を探る。同時に、味や収量などに優れた果樹株も絞り込み、農家への普及を目指す。
 センターの渡部正明林産資源部長は「栽培方法だけでなく、品種改良にも成功すれば、現在の健康効果を一層高められる可能性もある。ブランド化の夢も広がる」と意気込む。

■※ナツハゼ 北海道から九州まで国内で広く分布している落葉性の低木。県内は特に中通りの阿武隈山系から浜通りに多く自生する。秋に果実が黒紫色に熟し、他のブルーベリーに比べて酸味が強く、渋味などの独特の風味がある。実には視力向上効果があるとされるアントシアニン色素が豊富に含まれる。

【写真】健康効果が高いとされ、県内で加工品作りの動きが広がっているナツハゼの実。増殖技術の確立に期待が高まる

(2011/01/12 10:39)
【参照先】ナツハゼのさし木増殖技術