ヒシの実

出典:野食ハンマープライス

 

ヒシの実を採って食べてみる

取材で利根川方面に行く機会があり、たまたま立ち寄った水辺で大群落を発見。
水面に広げた葉の裏に花柄を伸ばし、果実をつけているので、上空から実を探すのは結構骨が折れます。ヒシの実を食べる水鳥はヒシの葉の裏を嘴でくいくいとやって器用に実を採取しており、それをまねて手のひらを群落の中に差し込んで同じようにくいくいやると簡単に採れました。ただ指先が傷だらけになるのでごついグローブとかつけるのがおすすめです。

北部九州は地域によっては非常にたくさん棲息しており、さらに食用に栽培もおこなわれてもいます。

ヒシと呼ばれる植物にもいろいろあり、ノーマルのヒシのほかに棘が4本生えてて大きいオニビシ、4本だけど小さいヒメビシ、棘がない栽培品種のトウビシなどがあります。
今回はヒシとオニビシが採れたのですが、どうやらこの2つは水深によって棲み分けしているっぽいです。脛くらいの水深のところに生えているものはほとんどがヒシでしたが、ひざよりも深いところにあるのはおおむねオニビシでした。オニビシのほうが大きくて食べ出がありそうです。

持ち帰ってきたヒシの実。
果皮は非常に薄く、洗うとすぐに脱落し、殻に包まれた種子が現れます。
この殻が非常に強固で、中身を取り出すのはたいへん困難でした。

包丁やキッチンバサミなどいろいろ使いましたが、最終的に剪定鋏で二辺を切ってこじ開けるのが最も綺麗に可食部を取り出せました。

イグニさんから「生が美味しかった」と伺ったので、さっそく食べてみます。

表現が難しいですが、レンコンと梨の中間みたいな感じですね。シャリシャリしてでんぷん質だけど、ほわっと甘い。食感は種子の生育度合いによって変わり、若い実はシャリ感が強く、熟してくるとでんぷん質が増えるようです。
鮮度が落ちるとエグみが増すので、採った日だけの楽しみといえるかもしれません。

とはいえ淡水の止水域に生息する生物、生で食べまくると各種寄生虫が心配です。というわけで基本的には茹でて食べました。

茹でると栗のような香りがして、ほくほく感と甘みが増します。これはかなり美味い! 

ヒシとオニビシで味の違いはほとんどないように感じました。多少オニビシのほうがでんぷん質が強いような気もしますが、100個ずつくらい食べないと分かりませんね。

味:★★★★☆
価格:★★☆☆☆