ヤマザクラ(山桜)の特徴
ヤマザクラ(山桜)は日本に自生する10種(カンヒザクラを含めると11種)の野生桜の一つで、日本のみに自生する固有種です。
ソメイヨシノが花のみで開花を始めるのに対して、ヤマザクラは赤みを帯びた新芽とともに薄紅色の花を咲かせます。
野生種のため花色・開花時期などに個体差があるものの、白~薄紅色の花色で、ソメイヨシノより少し遅れて開花を始めます(温暖地では3月下旬~4月中旬)。
ソメイヨシノが江戸後期に作出され明治期に花見の主流となるまではヤマザクラが花見として観賞され、古くから親しまれてきた桜の一つです。
本州や四国の標高の高い地域では、花が少し大き目でやや紅色が濃いヤマザクラが自生していることがありますが、これは冷涼地を好むオオヤマザクラ(大山桜:Cerasus sargentii var. sargentii)の可能性もあります。
ヤマザクラ(山桜)の増やし方
サクラの仲間は園芸品種も多いため「接木」「挿し木」で増やしますが、ヤマザクラは原種なので「種まき」で増やすこともできます。
接 木
桜の代表的な増やし方です。時期は2月末~3月に行います。台木を用意し、増やしたい品種の枝(穂木)を台木に切り接ぎします。
まず穂木に十分水を吸わせるため、数時間から1日間水につけます。
良く切れるカッターやナイフで台木に切れ込みを入れ、穂木も斜めに切り直します。
切り口が乾かないうちに、穂木と台木の形成層を合わせて繋げ、接木テープで固定します。その後、穂木が乾かないように透明ケースやビニールで覆います。
挿し木
時期は5月下旬~7月上旬あたりに行います。その年に伸びた枝(新梢)から挿し穂を作ります。
新梢のうち、未熟な先端部分の枝と木質化しかけた根元部分を除いた部分の枝を使います。枝の太さは3~5㎜程度が適当です。
なお新梢を選ぶ場合、木質化した枝は樹を傷めることがあるため避け、接木の場合があり根元の新梢は別のサクラの可能性があるため避けた方が良いです。
葉が3枚毎に枝をカットし、良く切れるカッターやナイフで下側切り口を給水しやすいように斜めに切ります。その後挿し穂を数時間水につけて給水させます。
挿し穂の一番下の葉を取り除き、残った2枚の葉は、蒸散を抑えるため半分に切ります。
鹿沼土細粒か赤玉土細粒のような清潔な土を準備し、水をかけて湿らせた後、挿し穂を土に挿します。発根剤などを使うと成功率が上がるのでお勧めです。
ビニールなどで覆い保湿しつつ、日陰で水を与えながら管理します。
種まき
サクラの種は自然環境下では春から発芽します。
種まきは5月~6月あたりに果肉を洗い落として採種したものをそのまま撒くか、秋~冬まで乾燥させないように保存して11月~翌2月(寒い地域は2月に)に撒きます。
種は乾燥すると発芽できなくなることがあるため、湿らせたキッチンペーパーなどで包み日陰で乾かないように保存するか、湿らせた土(または腐葉土)などに埋め込んで保存します。
種を撒く場合は、育苗トレーやポットなどに赤玉土:バーミキュライト=8:2の用土を入れて種を撒き、1㎝程度覆土してからたっぷりと水を与えます。
発芽するまで明るい日陰に置いて、発芽後本葉が2~3枚まで育った頃に1株ずつポットや鉢に植え替えます。
移植後1~2週間までは日陰に置き、以降は陽当たりの良いところで苗を大きく育てます。
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