山菜の促成栽培

 

 山菜の促成栽培が盛んな新潟県魚沼市の旧堀之内町地区で、タラの芽の出荷が最盛期を迎えている。

 促成栽培は、タラの木を畑で半年かけて育てた後、約15センチ間隔の「駒木」に切り分け、農業ハウス内で1カ月ほどかけて芽を出させる。野生のタラの芽の収穫は雪解けの4~5月ごろに限られるが、促成栽培は12月中旬から5月初めまで収穫でき、品質も安定するため料亭などで重宝されるという。

 最も高級な全長5センチほどの「L寸」は、京都や大阪の市場に出され、卸価格は平均で1キロ6千円程度にもなるという。旧堀之内町地区の農家、渡辺公一さん(72)は「手間はかかるが、小規模のハウスでつくれて収益性も高いので、雪国にはぴったり」と話す。

 旧堀之内町を含むJA北魚沼(同市)管内では、約60軒の農家がタラの芽、うるい、ふきのとうの促成栽培に取り組んでいる。2018年度は計約57・5トンを販売した。
 側芽を主体に収穫するタラノメの促成栽培は、採取した穂木を貯蔵し、11 月から翌年5月にかけて順次伏せ込んで生産するが、春期の伏せ込みでは穂木の貯蔵期間が長くなるに従って収量が低下することが問題となっている。

 山形県は日本一のうるいの出荷量
うるいはもともと湿地に自生する山菜ですが、山形県では冬場の農閑期の収入源として「促成栽培」されています。「促成」とはビニールハウスで暖房器具などを使って保湿や加温を行い、露地での栽培よりも成長や収穫、出荷を早める栽培方法のことを言います。山形県のうるいの出荷量は147トンで67%と断然トップを占めています。

 鶴岡市羽黒地区で稲作している丸山良治さんは農家の仕事をして40年。稲作をしていない冬場、10年前から「プチヴェール」、そして5年前からこの「うるい」を栽培しています。「うるい」の栽培のきっかけは、近所で「うるい」を10年前から栽培している丸山吉郎さんに栽培方法など聞いて自分もやってみようと思ったからだそうです。
 
 早速、丸山良治さんのビニールハウスに連れて行ってもらいました。外はまだ色のない季節ですが、ハウスの中はプチヴェールの濃い緑とうるいの淡い緑が一瞬にして春を連れてきたように出迎えてくれます。まず、驚いたのはうるいの根元をみると土ではなく一面籾殻なのです。この籾殻、実は適度な湿度と温度を保つのに効果的であるといいます。

 行者ニンニクの栽培方法と出荷
山菜である行者ニンニクはゆっくりゆっくり育ちます。
種まきから収穫まで8年!栽培法はイラストのとおり。
 山菜なのであまり手がかからないイメージでしたが、休眠等植物の生理的なシステムを利用して促成栽培するため、細かい温度管理が施されます。
 多文さんは行者ニンニクのみで農業経営をされています。当初は、稲作でしたが徐々に切り替えて30年。研究会の中でも行者ニンニク栽培の先駆者のお一人で、マニュアルのない中、メンバーと共に少しずつ栽培技術を向上させてきました。
 朝日地区は、行者ニンニク促成栽培の技術を全国でもいち早く積み上げ、流通商品として出荷するようになりました。東京の太田市場ではトップシェアを誇ります。
 出荷のためには1本1本水洗いし、根を切り、外皮を取り除きます。出荷作業は1日がかりで、そのうち半分がこの水洗い作業に費やされます。
ハウスの中は温かいとはいえ、外は氷点下。
 多文さんは「水仕事は辛くて泣きたくなる」と冗談めかしておっしゃってました。
奥様と二人で50gずつパック詰めし、多い日には約300パック以上出荷しています。