丹波栗で大もうけのおじいさん(3)

 

2007年10月13日
それは栗の木の剪定にありました。つまり、栗の木の枝が横へ横へと広がらず、むしろ縦へ縦へと伸びるよう、若木のときから強制的に剪定していったのです。もちろん苗木を植える時は、従来より栗の木の間をつめて植えたのはいうまでもないことです。

結果は見事大成功。きっと近所の人はなぜそのおじいさんの栗林だけが収穫量も多く、しかも大きな実ばかりできるのか不思議がったことでしょう。

この話を聞いて私は、やはり人生「創意・工夫」が大切だと思いました。
栗は縄文時代から人々が食べてきた伝統ある穀物です。普通の人なら、栗の木を従来通り自然のままに栽培し、「収穫量や粒の大きさはこんなものなのでしょうがない」とあきらめることでしょう。

しかし、その考えを破って、「もっと○○するにはどうしたらいいのだろう」と発想したそのおじいさんのすごさに感心しました。

その後、そのおじいさんは丹波の農業試験場にそのノウハウを伝授し、今やその方法は丹波地方全体に広がりつつあるそうです。

 樹齢10年くらいまでのクリはどんなに強く切っても、まず樹が枯れることはありません。むしろ剪定しない樹の方が枯れる確率がずっと高くなります。ただし、太枝を切った場合には必ず切り口に防腐剤(トップジンMペーストなど=ホームセンターに売っています)を塗っておきます。剪定は主枝や骨格の形にこだわらず、30cm程度の新梢が発生する範囲まで切り詰めるようにします。主枝の配置は本数ではなく、上下の枝が重ならず、樹全体にまんべんなく日が当たるような樹形に仕立てるのがポイントです。さらに以下の点にも留意してください。
 1)2月中に窒素10~20%含有の化成肥料を1樹当たり約1kgを株の周辺に撒く。
 2)クリは自家受粉では実がつかないので、近所に別のクリがないときは、必ず近くに別の品種を植える。
 3)元気のいい枝に実がつく。短く弱い枝は思いきって主枝近くまで切り詰める。
 4)樹はなるべく低く仕立てる。高さ3.5mを超える樹は中心部まで日光が届かず、実の付きが悪くなる。
 5)どんなに強く剪定しても、切り過ぎということはない。弱った樹ほど強く切る。
すると翌年必ず強い新梢が発生する。
 なお、一般に果樹はどんなにいい品種でも、その種子を撒いても同じ実はなりません。自然に生えた実生苗から、優良品種を超える品質の実ができる確率は1万分の1と言われます。趣味で育てている場合でも、おいしい実を成らすためには、丹沢、筑波、石槌など既存の優良品種の苗を園芸店から購入して植えることをお勧めします。
(K.Umeya)
【参照】都麦出版

 

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