ツリガネニンジン(釣鐘人参)

 

 ツリガネニンジン(釣鐘人参)は、キキョウ科ツリガネニンジン属の多年草です。日本、朝鮮半島、中国、カラフトが原産で、日本では沖縄を除く北海道から九州にかけて分布する在来種です。名の由来は、花冠が釣り鐘型で、根がチョウセンニンジン(朝鮮人参)に似る事から。英名は、Ladybells。

 キキョウ科(Campanulaceae Juss.)は、Campanula(釣鐘)に由来し、温帯から熱帯に約60属2000種があります。ツリガネニンジン属(Adenophora Fisch.)は、ユーラシア大陸に50種ほどあり、日本には約10種が自生します。

 山野に自生し、低地から1700mあたりまで垂直分布します。根は薄黄色で、60~80cmに伸びます。若芽はトトキと称して食用になり、山菜として親しまれています。朝鮮語でツリガネニンジンをトドック(希幾)と言い、トトキとは、それが転訛したものです。乾燥根は、漢方生薬名シャジン(沙参)として、鎮咳・去痰薬として用いられます(日本薬局方外生薬規格)。
 茎は円柱(断面円形)で細毛が密生し、ほとんど分枝せずに直立して、高さ40~100cmになります。全体に腺細胞があり、切ると乳液を出します。これはツリガネニンジン属の学名であるAdenophora(腺がある)に表されている特徴です。
 1)根生葉は長い柄があり円心形です。花期に枯れますが、刈り取り後に再生する事があります。2)茎生葉は柄が極短く、3~6枚が輪生します。互生・対生する場合もあり、長楕円形・卵形・線状披針形等と変異が多く、長さ4~8cm、幅5~40mmで鋸歯があり先端は鋭頭です。

 茎頂に円錐花序を出し、数段に花を数個ずつ、やや下垂させて輪生します。花冠は釣鐘型の合弁花で、先端が5裂し淡緑色を帯びます。花色は、淡紫色や白色があります。花冠長は12~20mmで、花径は10mm程。雄しべ5本、雌しべ1本があり、雄しべは花冠から突き出ます。
 両生花で他家受粉をします。自家花粉を避ける雄性先熟です。初め雌しべは綿棒のような棍棒状で(雄花期)、雄しべが枯れると先端を浅く3裂させて受粉可能(雌花期)となります。枯れた雄しべは花冠に貼り付きます。染色体数は、2n=34。萼は5裂します。萼裂片は長さ3~5mmの線形で細く、突起状鋸歯が1~4個あり、反り返ります。

 1)根生葉(こんせいよう)radical leaf:地上茎の基部から出る葉。
 2)茎生葉(けいせいよう)cauline leaf:茎葉。地上茎につく葉。

出典:草花と自然Blog
 

Post a Comment

Your email is never published nor shared. Required fields are marked *