キクイモ/きくいも/菊芋

出典:庭木図鑑

血糖値改善作用、整腸作用がある健康食品

・日本各地に分布するキク科ヒマワリ属の多年草。原産地はカナダ及びアメリカの東北部で、江戸時代末期(文久年間)に家畜の飼料用あるいは花を観賞する目的で渡来した。

・本来は肥沃な場所を好むが、痩せ地や半日陰地でも育つ丈夫な性質を持ち、野生化したものが全国の道端、人家付近の空き地、土手及び低山に群生する。

・秋になると地下にある一部の細根の先端がイモのような塊(根茎)になること、キクのような花を咲かせることからキクイモと命名された。分類上はイモというよりもゴボウに近い。別名はアメリカイモ、ブタイモ、サンチョークなど。

・開花は8~10月で、茎の上部から伸びた花茎に、ヒマワリに似た明るい黄色の花を咲かせ、花の時季には車窓からもよく目立つ。「舌状花」と呼ばれる小さな花が10~20輪集まって、直径6~8センチの花序となる。同じように道端で目にするヒメヒマワリ(シカクヒマワリ)と比べると花弁の幅は狭く、先端が尖る。

・花の後には画像のような果実ができる。タンポポのような冠毛はないが繁殖力は高く、日本固有の生態系を乱す帰化植物として外来生物法では要注意外来生物に指定している。しかし、健康食品としての需要があり、人為的に栽培される例も増えている。

・根茎が肥大するのは、開花後から霜の降りる一か月前まで。収穫量が多く、戦中戦後は果糖やアルコールの発酵原料としても栽培された。欧米や中国では古くから食用されてきたが、イモに比べると淡白な味わいであり、日本では救荒植物として天婦羅、酢漬け、味噌漬けにして細々と食用し、質が劣ることを意味するシシイモやブタイモと呼ぶ地方もある。

・しかし近年はその栄養価の高さとカロリーの低さが注目され、健康食品として町おこしに使う例もある。普通のイモに比べるとデンプンが少なく、それに代わるイヌリンという物質は食物繊維を豊富に含むため、腸内環境の改善に効果があるとされ、飴、果糖、アルコールにも使われる。