きりたんぽ鍋(きりたんぽなべ)

出典:農林水産省

 

秋田県の郷土料理

 ご飯をすりこぎですりつぶし、芯にした棒ににぎりつけて焼いたものを、秋田では「きりたんぽ」とよびます。
 江戸時代、藩の境の視察にきた南部藩の殿様を、きりたんぽでもてなしたという話があります。

主な伝承地域

 

大館市、鹿角市
歴史・由来・関連行事

 きりたんぽ鍋は鶏ガラと調味料で作った汁に炊いたご飯をすり潰したものと野菜を入れた鍋料理。大館・鹿角地方が発祥の地で、炭焼きや伐採のために山籠りをした人々が、残り飯をつぶして棒に刺して焼いて食べていたものを鳥鍋に入れたことが始まりと伝えられる。
 重要な具材であった比内鶏が、秋田県産種の鶏として国の天然記念物に認定され食べられなくなった時期があったが、当時の比内町の町長の声がけで「比内地鶏」が誕生し、再び家庭の味として復活した。比内地鶏は元来のキジや山鳩に肉の組織が似ていて脂がきめ細かく、「たんぽ」との相性は抜群である。
 串に刺し焼いたご飯ががまの穂に似ており、短い穂の意味である「短穂」から「たんぽ」と呼ばれるようになったとされる。「きりたんぽ」とは、この「たんぽ」が鍋に入る長さに「切った」ものである。

主な使用食材

 お米、鶏肉、ゴボウ、長ネギ、セリ、もやし

食習の機会や時季

 新米が収穫される時期に作られることが多く、秋田県の北部では毎年新米の収穫が終わると、収穫の労をねぎらって「きりたんぽ鍋」を囲む。大館市では各家庭で代々受け継がれてきた料理であるが、客をもてなすために欠かせない料理でもあり、冠婚葬祭の際にはよくふるまわれる。

食べ方

 少しかために炊いたお米で「たんぽ」を作り、鶏やゴボウなどの材料の下準備をする。鶏ガラを水から煮込んでダシをとっておく。
 ダシに材料を入れ、煮えたら醤油で味付けをする。化学調味料は使用せず、お好みにより日本酒や塩などを足す。
 手頃な大きさに切ったたんぽを入れ、2~3分さらに煮込み、長ネギを入れ、最後にセリを入れる。

作り方
  1. 鍋に水と鶏ガラを入れてしばらく煮出し、時々アクをすくい取りながらダシを取る。
  2. 1のガラを取り出して、鶏肉とゴボウを入れて再びアクを取りながら煮る。
  3. 2が煮えたら糸こんにゃく、まいたけを入れ、煮えたら、醤油、酒、塩を加えて好みの味にする。
  4. 3の鍋に2つ切りにしたきりたんぽを並べ入れ、長ネギとセリをのせてひと煮立ちしたら出来上がり。