出典:YANMAR
輪作体系の新たな営農スタイル
水田農業の将来像が見えづらい昨今、水稲だけで、規模拡大をしていくのは難しそうです。
そこで選択肢のひとつとして、子実とうもろこし栽培が注目を浴びています。国としては、輸入している約1500万tを、今後、国内生産に切替えることで自給率が上がります。そして農家側には、ほ場の排水性改善、機械の汎用利用、規模拡大、収益増大などを実現してくれる期待感があるといいます。
この新しい流れを受けてヤンマーが開発した汎用コンバインと専用とうもろこし収穫キットの、実用化を目前にしたほ場試験をレポート。
とうもろこしの実だけを収穫することを「子実とうもろこし収穫」といいます。家畜飼料における濃厚飼料のひとつです。
これまで子実とうもろこし栽培は、北海道などでの栽培事例が多かったが、小泉氏のほ場は中山間地域だ。
しかし元々、ほ場の有効活用に前向きな小泉氏は、暗きょを入れて3年前から子実とうもろこし栽培に取り組み始めた。現在、水稲を約50ha(自家栽培約35ha・作業受託15ha)のほか、大豆12ha、子実とうもろこし2haを輪作しておられる。
「ここで育つのか?から始まって、なんとか形になった頃に、ウチで子実とうもろこし普及のイベントをしたんです」。
その際、約200人が集まり、小泉氏は子実とうもろこしの将来性を確信した。「団塊の世代が大量離農したら一気にほ場が増えるから、それに対応するには、ほ場を畑地化して米以外の作物も視野に入れないと…。
それで土地利用型の打開策として子実とうもろこしの栽培を始めました」。ご自身だけでなく、将来の日本農業のことも考えての取り組みだ。そんな思いから、ヤンマーの実証試験にもご協力いただいている。今回の試験は2度目となる。
機械から降りた小泉氏が「よし、いける!これはアリだな」と、叫んだ。刈り跡を見ても、排出される茎葉やカットされた果穂(かすい=種子の付いている部分)も、うまく細断されておりヘッドロスも少ない。「悪くないと思いますよ。北海道では、海外の機械が多いけど、府県では小回りがきいて耐久性のある国産汎用コンバインで刈りたい。2年前と比べるとかなり良くなりましたね。
前回は、エンジンに対する負荷も高かったし、選別もアラが多かったけど、今回は脱こく後の作物も洗練されてきた。
今後、農政の動きが変わって、子実とうもろこしがもっとつくりやすくなったときには、導入にGO!サインが出せると思います」。小泉氏の表情は明るかった。