山菜オオナルコユリP.macranthum Koidz.
の種子の休眠型および休眠打破に関して検討した.収穫後, 間もない種子を10月に播種して戸外で育てた場合, 翌夏に発芽したが, 芽を地表へ出現させたのは翌々春であった.
発芽のためには種子が17℃以下の低温で湿潤処理されることが必要であったので, 種子休眠(幼根休眠)の存在が認められたが, その休眠は5℃, 60日間処理でほぼ完全に打破された.
低温湿潤処理後の発芽適温は約21℃であった.種子の低温処理を, 種子を取り出す前の果実に対して行うより, 取り出された種子に対して行う方が発芽を著しく促進した.
果実から取り出した種子を低温湿潤処理前に3日間風乾させると, 発芽が不良になった.幼根休眠打破処理後, 発芽適温下に置いた種子の発芽とその後の生長活動は60日経過後には停滞した.これは幼芽が休眠(上胚軸休眠)状態になったためと考えられる.
幼芽が生長を再開してシュートが地表に現れ, 緑葉を展開するためには再度低温経過を必要としたので, オオナルコユリ種子の休眠型は前報(Takagi, 2001)で報告したアマドコロ種子の休眠型とほぼ同様であった.
オオナルコユリの上胚軸休眠打破後の地表へのシュートの萌芽適温は25∿29℃であった.シュートの地表への萌芽は, 幼根休眠打破後の温暖期間(21℃)を120日とし, 上胚軸休眠打破のための5℃処理期間を90日とした場合に, 比較的早く, また高い率で起こった.
【参照先不明】