Daily Archives for 火曜日, 3月 2024

使わない田畑を人に貸すなら「農地バンク」を利用しよう

出典:シニアタイムズ

 

使わなくなった田畑が収益を生む
「農地活用ビジネス」とは?

 農地バンクとは、正式名称を「農地中間管理機構」といい、2014(平成26)年度に全都道府県へ設置されました。
農地バンクは、農地を貸したい人と借りたい人の間に立って仲介をする役割を果たしており、都道府県ごとに公益財団法人や一般財団法人、一般社団法人などが運営しています。
ただし、農地バンクでは農地の「貸し借り」を仲介するのみで、売買の補助は行っていません。

 跡継ぎがおらず農業をリタイアする人や、離れた場所にある農地の維持管理が大変な人、農地を相続したものの農業経営をする予定がない人などは、農地バンクに貸し出しの相談をするといいかもしれません。
また、分散した農地をまとめて交換したい人や、新たに農業を始めたい個人・法人など、借りたい人の相談も受け付けています。

 農地バンクでは、農地を貸す側のことを「出し手」、借りる側を「受け手」と表現します。
農地バンクを利用する、出し手と受け手のメリットとしては、下記のようなものがあります。

<農地バンク利用で農地を貸す「出し手」のメリット>

  • しっかりした基準で選ばれた受け手に貸し出されるため、(農地バンク経由で)賃料が確実に振り込まれる
  • 農地は貸付期間終了後に必ず返却される
  • 契約した受け手が耕作できなくなった場合は、農地バンクが新しい受け手を探してくれる
  • 税金の優遇措置が適用される(所有するすべての農地を10年以上貸し付けた場合)

<農地バンク利用で農地を借りる「受け手」のメリット>

  • 複数の農地を借りる場合でも、契約や賃料支払い先は農地バンクだけに集約できる
  • 分散した農地を交換してまとめられる

農地バンクで貸し借りできる農地を探すには、農林水産省が管理運営を行っている「eMAFF農地ナビ」の利用がおすすめです。

<農地の売却はなぜ難しいのか>

 使わない農地を貸し出す場合、農地バンクを利用する方法が考えられますが、農地の売却となると、ほかの宅地などの不動産よりも難易度は高くなります。
なぜなら、農地には農地法という法律が適用されており、農地の売買に対してさまざまな条件が課せられているからです。

 まず農地を売るには、農業委員会の許可が必要です。
さらに50アール(5,000平方メートル)以上の大きな農地を売ることは、原則できません(地域による)。これは周辺の農地におよぼす影響が大きいためです。

 そして農地を購入できるのは、農業委員会に許可を得た農家や農業従事者などに限られ、各種の条件を満たしていない新規就農者が買うことはできません。

 農地を農地として売買するのも大変ですが、農地転用後の売買にも手間がかかります。農地転用の項目でもお伝えしたように、転用には多くの手続きを要するうえに、転用資金もある程度必要だからです。

 このように、農地を売却するには、ほかの不動産売買よりも多くの壁を乗り越えなければなりません。