Daily Archives for 木曜日, 3月 2024

田圃でお米とレタスととうもろこしをつくる

出典:アグリバッファ

 

静岡県森町 緑葉 KMファーム
水田で野菜をつくって収益力を上げる

 静岡県周智郡森町で実践されているのが水田3倍活用。水田でお米をつくると共に“レタス”と“とうもろこし”をつくって水田の収益力を上げていこうというもの。「他の地域ではお米しかつくっていない所も多く、そういう所からはちょっと働き過ぎじゃないのかと思われていて、森町の生産者は一年中田んぼにいるって言われます」。そう話すのは森町で農業を営む森一弥さん(62歳)。

 緑葉 KMファームの代表で、水稲7ha、レタス1.8ha、とうもろこし3haを手がけ、それに加えて柿、サツマイモの栽培も行っている。労働力は従業員2名と4人ほどのパートさん。就農は17年ほど前で、他の地域からのIターン。意欲的に農業を展開しJA遠州中央のレタス部会の部会長も務めている。

 森町は静岡県西部の遠州と呼ばれる地域にあって、3方を小高い山に囲まれているが、その内側は比較的平坦で、町を流れる太田川から水を得て、水田が広がる。「3反歩の圃場が多くて、土壌は粘土質です」。そこでコシヒカリときぬむすめを生産している。収穫したお米は同ファームが運営する直売所で販売し、一部は農協出荷を行っている。「評判はよくて、販売量も伸びています。最近は6月には品切れになってしまいます」。特別の栽培方法を実践しているというものではなく、この地で穫れた一般的なお米として販売しているが、独自ルートを確保することで市況に左右されない安定収益となっている。

 地域では生産者の高齢化が進展し、担い手に田圃をあずけるということも多く、同ファームの経営面積も拡大の傾向にある。「今年も増えましたし、来年も1町ほど増える予定です」。ここまででも、規模拡大と独自販路を確立する意欲的な稲作経営なのだが、この地ではこれにまず、レタス栽培が加わる。

冬場のレタスとして高いブランド力を確立

 「お米の収穫はお盆過ぎから始まって、9月15日ぐらいまでには終えます。その後レタスの準備に入ります」。田圃を乾かし、2m幅の平畝をたて、マルチを張り10月から移植機による定植を行う。1畝に4条の千鳥植え。「水田でレタスを作るためには排水対策などの下準備が大切です。暗渠や溝を掘って排水対策を行い、お米の栽培でも早めに水を切って、田んぼを乾かすようにしています」。

 現在レタス部会には61人が所属し、栽培規模は70ha。部会設立から60年を超え、地域農業の大きな柱になっている。「最初に水田の収益力を上げようと導入された方がいて、土と気候が良かったんでしょうね、反収も良くて、それで地域に広まっていったそうです」。

 また、ただ生産しているのではなく、品質が極めて高い。味は“柔らかく、甘くて、肉厚”という評価で、「私たちは2L、Lクラスを中心に出荷していますが、冬に収穫を迎えるレタスで、この大きさのものをつくれる産地はなかなかありません。冬場のレタスづくりの技術としては日本一だと思っています」。栽培でこだわっているのは味。収穫のタイミングが重要で、若採りを心掛け、鮮度を長持ちさせて、シャキシャキの食感が大切にされている。JAでの共販で、殆どが関東に出荷され、その時期のレタスとしては「東京で一流と言われている所では、遠州中央のレタスを使っていただいているのではないでしょうか」。高いブランド力を確立している。
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